斜里岳~孤峰のてっぺんで見た北の大地

北海道の山

斜里岳は知床半島の付け根にそびえる単独峰で、麓から眺める山容は富士山のように優美。7月の高山植物豊かな季節に清岳荘から新道・旧道コースを登山しました。

登山した日-2007.7.17

斜里岳登山の拠点、清岳荘で一泊

ヨーロッパのような牧歌的な景色の中を貫く道道857号線は、斜里岳の山懐に入るとダートの林道へ変わりました。

時々深い砂利にハンドルを取られると転倒しそうでちょっと怖い・・・オフロードバイクじゃないからキツイ道だなぁ・・・。 で、道路ばっかりに気を取られていると、前からかっとばして来る車に思わずハッとなってすぐに左に避けて、すれ違ったあとはまき散らされた粉塵ですっかりホコリまみれ。ああ何時になったら林道終点に辿り着くのかなぁ?と思ってたら間もなく駐車場が見えてきて、今日宿泊する山小屋の清岳荘の大きな建物も見えてきました。

清岳荘の外観は鉄筋コンクリート製の重厚な建物で山小屋らしくありません。荷物を降ろして早速受付へ向かおうと入り口のドアを開けると大きなラブラドール犬が横たわっていて一瞬ウワッと驚いてしまいました。この山小屋の管理人さんの飼い犬で小屋のマスコット的存在です。

小屋の中は外観とは違ってウッディーな造りで清潔で奇麗。

僕以外居なかった宿泊者も時間の経過とともにポツリポツリとやってきて最終的には8人程で、静かな時間が山小屋に流れていました。

斜里岳1 清斜里岳の登山口・清岳荘までもう少だけど、ここから悪路の林道へ。

斜里岳2 清岳荘の建物の中は綺麗です。

斜里岳3 夕方、清岳荘から庭へ出ると眼下に斜里平野とオホーツク海を望めました。明日も晴れますように!

一の沢を何度も渡って

翌日午前3時。他の登山者たちの物音で目が覚めます。まだ寝ぼけて身動きが鈍い僕とは違い、宿泊者たちはテキパキと登山準備をするとすぐに小屋を出て斜里岳へ向けて旅立ったけど僕はといえば・・・小屋の居心地が良かったからダラダラしながらゆっくり準備です。

僕が小屋を出た午前5時半は日も昇り明るくなっていました。小屋脇から伸びる登山口へ入って少しの間樹林の中を歩くと車も通れそうな広い砂利道に出ます。さらに進むと本格的な登山道になりました。ここからは一の沢に沿っての登りになるけれど、特にキツイ勾配は無く心地よい沢音を聞きながらハイペースで歩いていきます。

しばらく進むと徒渉点へやってきました。靴を濡らさないようにと、飛び石伝いに渡り切ってホッと一息。さあ前進と思いきやまた徒渉点。ここを渡るとまたまた徒渉点・・・といった具合に一の沢を右へ左へ行ったり来たり。

渡渉の度に力を振り絞って思い切り対岸へジャンプするからなんだか疲れてきたぞ。沢靴とか長靴があれば楽なんだろうけど・・・。

斜里岳4 斜里岳の登山口はこちら。それでは出発です。

斜里岳5 登り序盤は一の沢に沿って歩いていきます。急坂も無いから比較的楽。

斜里岳6 ところがしばらくすると一の沢を左へ右へ行ったり来たりするから歩くのが大変。

斜里岳7 沢沿いだから展望は無く、密林の沢筋をひたすら進んでいきます。

急勾配の連続、新道コース

やがて旧道コースと新道コースが交わる『下二股』という分岐点へやってきました。

この先まだまだ続く一の沢を歩いて斜里岳山頂へ至るのが旧道コース。対して新道コースは尾根へ出てから斜里岳山頂へ至るというもの。この時点で一の沢の徒渉が嫌になっていた僕は迷わず新道コースを選ぶ事にしました。旧道コースは下山する時に使おう。

新道へ足を踏み入れたとたん急登が襲いかかります。足を上げるのが嫌になるような強烈な勾配だけど、その分高度を一気に稼ぐ事が出来るから辛いのはちょっとの間我慢!やがて背の低い灌木が広がると眼下に斜里平野の展望を拝めるようになりました。

そして尾根に出ると勾配も緩やかになって歩きやすくなり、ハイマツが広がって来るとコース中盤・標高約1250mの熊見峠へ到着。見晴らしはとても良くてここで初めて斜里岳の頂を捉えました。

斜里岳8 新道と旧道の分岐点、下二股へ到着。

斜里岳9 新道から見下ろした斜里平野。パッチワーク模様の田畑が広がる絶景。

斜里岳10 斜里岳の山麓は深い原生林。こんな深い森は本州ではなかなかお目にかかれませんね。

斜里岳11 遠くに見える山は阿寒の山々かな?

斜里岳12 コース中間点の熊見峠へ到着。見晴らしが良くここで初めて斜里岳の主峰群を捉えました。

斜里岳13 熊見峠から望んだ斜里岳の主峰群。写真左が斜里岳の本峰になります。

体力勝負!胸突八丁

熊見峠から先、一面広がるハイマツの尾根道を緩やかに下っていくと旧道と合流する『上二股』へ辿り着きました。ここから見上げた斜里岳は大声を上げれば声が届きそうなくらい間近でいよいよ登りも終盤。

上二股から続く沢沿いの道を過ぎると、突然急斜面の登りに差し掛かりました。斜里岳最後の難所・胸突八丁です。名前の通り胸を突く苦しい登りが続く登山道は、滑りやすいガレ場の連続だからペースダウン。疲労で俯き加減の頭をムリヤリ空へ向けると、遥か上方に『馬の背』の小さな肩が見えます。あそこまで登ればこのツライ登りから開放されるのです。

胸突八丁と悪戦苦闘する事約20分、馬の背の鞍部へ到着すると斜里岳の山頂をいっそう間近に望めます。距離的にはあと2~30分くらい。もう一息です。

斜里岳14 熊見峠に広がるハイマツの海。

斜里岳15 振り返るとさっき立っていた熊見峠の頂きは遠く離れてしまっていました。

斜里岳16 熊見峠から見た斜里岳は幾つもの峰が重なりあったような山容をしていて、麓で見るような峻険さは微塵もなし。

斜里岳17 胸突八丁。キツイ登りの連続です!

斜里岳18 胸突八丁を登り切って馬の背へ到着。

斜里岳19 馬の背から斜里岳の山頂を右上に望みます。あともう一息!

斜里岳20 馬の背から望む南斜里岳。

斜里岳のてっぺんから眺める北の大地

馬の背を過ぎると色とりどりの可憐な高山植物が出迎えてくれます。頑張ってここまで登ってて良かった!と思わず歓喜!ガレ場の急斜面を登り切ると祠の建つ斜里岳前峰を踏んで、その先のピーク登ると斜里岳山頂へ辿り着きました。

遮るもののない独立峰のてっぺんには、背骨のように連なる知床の山々やオホーツクの大海原、パッチワーク模様の絵のような色彩の大地が広がる大絶景が用意されていて、ああ今北海道の大地に立っているんだ!そう思える景色がどこまでも続いていました。

斜里岳21 間近に迫る斜里岳。

斜里岳22 斜里岳山頂へ到着です。

斜里岳23 山頂から知床半島を見ると遠く羅臼岳まで拝めます。

斜里岳24 遠く雲海の向こうには北方領土・国後島の爺爺岳まで見通せます。

恐怖の旧道コース下山

思う存分山頂の景色も堪能したしそろそろ下山しよう。あんなにキツかった登りも下りだと楽ちんで、あっという間に胸突八丁を下り切って上二股まで降りてきました。そしてここから旧道を使ったのですが、下りに旧道を選択したのは間違いでした。

一の沢に沿って続く道は濡れて滑りやすく、おまけに滝が流れ落ちる断崖を降りる危険箇所もあるから結構怖い。そうした場所にはロープや鎖が付けられてあるけど、これに頼っても滑るから危険です。とにかく慎重に慎重に・・・ここで滑ったらただでは済まないんだ。

続々と登って来る登山者たちはすれ違い様に、

『旧道を下るのは大変だろう?』
『旧道を下るのは危ないよ』

とまるで旧道の事を熟知してる風に話しかけてきます。後で調べたらガイド本では登りに旧道を使って下りに新道を使うよう推奨してるようです。

なんとか下二股へ降り立ったときは危険箇所を抜けた安堵感で思わず気が緩んで身体がヘロヘロ。ここまで来れば登山口はもう一息だけど、登山を終えるまでは油断は禁物。気を引き締めて出発します。

一の沢を渡渉し続けて清岳荘へ戻った時は午後を過ぎていました。荷物をバイクに積み込んで林道を駆け下りて道道857号線へ出ると、斜里岳の頂を見上げる事が出来ました。ついさっきまであの頂に取り付いていたとは思えない程、斜里岳は鋭く険しく高くそびえ立っていました。

斜里岳25 沢に沿って下ります。地面は鉄分でヌメヌメしていて滑りやすく危険。

斜里岳26 滝の縁を下ったりします。

斜里岳27 清岳荘へたどり着いたらエゾシカが出迎えてくれました。

斜里岳28 夕日に染まる斜里岳は今にも雲海に飲み込まれそうでした。

斜里岳写真ギャラリー

※クリックすると拡大します。

斜里岳登山地図

登山に要した時間 / 7時間

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