表大雪山縦走記~ダイナミック!北海道の屋根【前編】

北海道の山

愛山渓温泉からテントを担いて永山岳、北鎮岳、御鉢平、間宮岳、旭岳といった北海道の屋根を縦走!雄大な火山・広大なお花畑・幻想的な池塘・太古の原生林に包まれた北海道大雪山登山日記です。

※この記事は全2ページあります。

登山した日-2007.7.24~25

愛山渓温泉を出発

大雪山の北西側にある愛山渓温泉登山口から見上げる大雪の山々は、まだ山肌に残雪を残しながら夏空に雄大にそびえたっていました。今日から2日間かけてここから表大雪山を縦走します!

今回は

1日目:愛山渓温泉→永山岳・比布岳→北鎮岳→御鉢平→裏旭キャンプ地
2日目:裏旭キャンプ地→旭岳→御鉢平→裾合平→沼の平→愛山渓温泉

という感じで一日目は2000m級の山々を縦走し、二日目は花と湿原を満喫するという極上プラン。出発前に愛山渓温泉で登山道やヒグマの情報を仕入れて登山口へと進みます。ザックを背負うとずっしり重みが肩にのしかかってふらつきます。時計を見ると午前9時過ぎで今日の目的地まで距離が長いからちょっと遅い出発時間かもしれません。

愛山渓温泉1 愛山渓温泉の駐車場から眺める大雪の空は夏の爽やかな青。

永山岳への道のり

登山口へ踏み込むとそこは深い針葉樹の森の中。いつ何処からともなくヒグマが出てきそうな鬱蒼とした森だけど、身体いっぱいに緑を感じられる気持ちのいい森が続きます。

ほのかに漂う松ヤニの匂いが五感を刺激して少しずつテンション上昇。序盤は緩やかな登りが続いて30分ほど歩くと三十三曲分岐にたどり着きました。

ここで沢沿いのルートと尾根沿いのルートと二手に分かれます。尾根沿いのルートを選択して進むと、今までの緩やかな勾配が一転して胸を突く辛い登りが延々と続いてもう汗ダラダラ。

辛いけど、木々の向こうに見える雪を抱いた大雪の峰々が目に入ると、早くあの頂に立ちたい気持ちで身体が急かされる気がします。

針葉樹からダケカンバの森、そしてササ原へと辺りの景色が変わる頃には三十三曲の急勾配を登り切って、広々とした台地に立ちました。そして間も無く次なる分岐ポイント・沼の平分岐へやってきます。

ここからは最初に目指す永山岳(2046m)が眼前にそびえたっているのを望めました。

分岐から一旦沢を降りて渡渉。愛山渓温泉で仕入れた情報だと、ここはよく増水して渡れない時があるとの事。しかも昨日は夕立で大雪一帯が豪雨だったから、もしかしたら今日は渡れないかもしれない。とちょっと気掛かりだったけど特に問題なく渡渉完了。ここを渡り切ると永山岳の登り返しが始まります。

永山岳の登りはとても長くて、すぐ目の前にそびえていて手に届きそうな距離の筈なのに歩いてもぜんぜん縮まらない感じ。荷物の重みがここに来て身体に堪えてくるようになります。

高度が上がるに連れて周りはハイマツ帯へ変わり、銀明水という水場まで来ると高山植物のお花畑になってきたけど、天気は次第に悪くなって永山岳へ辿り着いた時にはすっかりガスに包まれて展望は無くなってしまいました。

愛山渓温泉登山道1 登山口。ここから表大雪山の縦走スタート。

愛山渓温泉登山道2 三十三曲の急斜面を登り切った先に見えて来た大雪山の主峰群。永山岳・当麻岳の頂きです。

愛山渓温泉登山道3 そびえ立つ永山岳(2046m)。まず最初にこの山へアタック。

永山岳4 永山岳の登り途中で後ろを振り返ると遥か眼下に愛山渓温泉が小さく見えました。

永山岳5 さらに高度を上げてハイマツ帯へ突入。目指す永山岳のピークが左に見えます。

永山岳6 お花畑に咲くコマクサ。

永山岳7 永山岳山頂直下。随分高いところまで登ってきたぞ。

永山岳8 永山岳山頂へ到着。だけどガスが湧いて展望は利かず残念。

永山岳9 次に目指す安足間岳、比布岳方面を望むも天気が怪しくなってきました。

比布岳への道程は乳白色の世界

ここから先はもう標高2000mの世界。永山岳の次は安足間岳(2194m)比布岳(2197m)と2000mクラスの山々を踏破していきます。

この辺りは荒々しいアルペン的な風景が続く歩き甲斐のあるコース。だけどガスで何も見えないとなると、ただ単調でつまらない登山になってしまうのが本当に残念。でも天気の事だから愚痴を言ってもどうにもできないし、渋々歩いて行くしかありません。

すぐ先が見えない空間を手探りするように進んでいると、突然動く影が現れて思わずドキっとします。今日初めて出会う登山者でした。ちなみに1日目に出会った登山者はこの一人だけで、あとは全く誰とも出会わなかった大雪の頂。夏山シーズン真っ盛りなのに人が居ないなんて本州の山じゃ絶対に有り得ないなぁ。

安足間岳を越えてしばらく進むと岩だらけの平坦な空間が見えてきました。比布岳山頂到着。山頂からの展望は当然のごとくガスで何も見えず。しかも風が強くて寒くてじっと出来ず、風を避ける場所も見当たらなかったので先へ進みます。

安足間岳 安足間岳・比布岳の稜線歩きは一寸先も見えない濃いガスの中。

比布岳山頂 比布岳山頂へ到着したけどガスで展望は無し。晴れてたら大雪山旭岳を一望出来るのに。

キタキツネとの神経戦

比布岳からガレ場を下っていくとガスが切れて見晴らしが良くなり、大雪山の巨大な山並みが広がると共に次に目指す北海道第二の高峰・北鎮岳(2244m)の丸い頂が行く手に出現。やった!晴れて来たぞ。

そして北海道最高峰・旭岳(2290m)も黒い山裾に残雪を残して遠くにそびえているのをここで初めて捉えます。

壮大すぎる大雪の山々の景色を一望しながら歩き続けて、比布岳と北鎮岳の鞍部へ到着。ここはお花畑広がる広場だったし景色もいいからちょっと休もうか。腰をおろしてお花畑を見ながらボーッとしていると何かが僕に近寄ってきたので思わずハッとします。

それはキタキツネでした。まるで飼いならされた犬のように一直線に僕に駆け寄ってきます。 地面に置いてある僕のザックの中身を狙おうしているのは見え見えで、ザックの中身を取られてたまるかと用心しているとザックはあきらめて僕の近くへ来て目をウルウルさせながらジッと見つめてきました。

『僕はもう腹ペコで死にそうなんだ。少し食べ物をおくれよ』

目がそう言っている感じ。 野生動物にエサを与える事の愚かさは重々承知している身、キタキツネの視線攻撃に負けるものかと僕もジッと見つめ返すも、なおもウルウルした瞳でエサをくれと懇願するキタキツネ。ウッ・・・心が揺らぎそうになる僕。数十秒の時間の経過の後、キタキツネは諦めてサッサと何処かへ行ってしまいました。

既に人里離れた山深い場所なのに、人間の歪んだ『愛護』のために野生本来の習性を変えられてしまった動物を目の当たりにした事はショックだったし残念でした。

比布岳12 比布岳を後にして間も無くするとガスが少し切れてきました。

比布岳13 あっと言う間にまとわりついていたガスが消え目の前に北鎮岳(写真左)が姿を見せます。

比布岳14 大雪山の最高峰・旭岳方面。山裾の残雪のマダラ模様がキレイ。

比布岳15 北鎮岳と比布岳の暗部で休んでいるとキツネがやってきました。

比布岳16 匂いを嗅ぎながらスタスタとこっちへやって来て・・・。

比布岳17 僕の目の前までやってきます・・・まるでペットみたいな振る舞いでびっくり。

超巨大火口・御鉢平

鞍部を過ぎるといよいよ北鎮岳最後の登り。比布岳で強く吹き始めた風はこのあたりまで来ると、歩くのに支障が出るくらい強まって呼吸をするのも大変。この強風がガスを吹き飛ばしてくれたから景色を堪能できるんだ、という点では歓迎なんだけど、いかんせん風が強すぎます。体ごと持って行かれそうな暴風に何度か足が止まるもなんとか北鎮岳の山頂へたどり着きます。

北海道第二の頂から見る光景は・・・大雪の広大な山並み、美しい残雪模様、青い空や手に届きそうな雲、どれも雄大壮大でスゴイ。でも一番目を引いたのは足元に広がるクレーターのような巨大な火口、御鉢平です。

何時までも眺め続けたいけど、強風と寒さで長居は出来ず、御鉢平の外輪まで一気に下る事にしました。

御鉢平の外輪へ降りると、御鉢平の底を間近に眺められます。底の真ん中からは黄色く濁った水が湧き出ているのが見えて、そこは有毒温泉というおどろおろどしいネーミングの付いた場所。名前のごとく有毒ガスが充満しているので御鉢平の中は立ち入り禁止のようです。

外輪の歩きも風との戦いで、時折踏ん張らないと有毒温泉に突き落とされそうな暴風が僕を襲います。そういう時は身をかがめてじっとして、風が弱まれば前進。それを繰り返して途中の中岳(2113m)を越え、今日の最後のピーク、間宮岳最後の登りにとりかかります。

長い緩やかな登りにあえぎながら登り切ると、だだっ広い荒涼とした台地が広がって遠くに標識のようなものがポツンと建っているのが見えたので行ってみると、そこが間宮岳(2185m)山頂でした。

間宮岳からゆるやかなガレ場を下ると裏旭キャンプ指定地へやっと到着。時刻は夕方4時半を廻っていました。

荒涼としたテント場には他に2張りのテントがあるだけ。寒さが身にしみるので、急いでテントを設営しようとしても強風が邪魔をします。やっと設営完了してテントの中へ潜り込んでほっと一息。かと思いきや、暖かいものを口にしても寒くてたまりません。外はいつの間にかガスっていてとても外に出られたものじゃない。なので身に付けられるものは全部身に付けて寝袋にくるまって早々に寝るのでした。

北鎮岳18 左に北鎮岳、右奥に旭岳。北海道標高ナンバーワンとナンバーツーが揃いました。

北鎮岳19 さっきまで僕の周りを覆っていたガスはすっかり消失。

北鎮岳20 見上げる北鎮岳。

北鎮岳21 北鎮岳山頂へ到着。

北鎮岳22 北鎮岳から歩いてきた比布岳・永山岳方面を眺めます。

御鉢平24 巨大なクレーターが眼下に見えるこれが御鉢平です。写真で見ると小さいけど実際に見るともっとデカイです。

御鉢平25 御鉢平の真ん中の底あたりが有毒温泉で、黄色い温泉水が湧き出ているのがここからでも見えます。

御鉢平26 御鉢平の外輪はお花畑が広がっていました。この花はイワブクロ。

間宮岳27 このだだっ広い台地が間宮岳山頂。

裏旭キャンプ地28 間宮岳を後にして裏旭キャンプ地へ。目の前の黒々とした山が旭岳。雪渓の下に小さく見える黄色いテントのある場が裏旭キャンプ地。

裏旭キャンプ地28 キャンプ地から見上げる旭岳は大きく裾野を広げていました。

表大雪山写真ギャラリー

※クリックすると拡大します。

表大雪山登山地図

登山に要した時間 / 一日目8時間 二日目8時間 合計16時間

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