十勝岳&美瑛岳~火山とお花畑と

北海道の山

現在も活発に噴火活動をしている十勝連峰最高峰の十勝岳(2077m)と、可憐な高山植物に包まれた美瑛岳(2052m)を望岳台から縦走登山。荒涼とした火山の台地と花に彩られた峰々を存分に歩きました。

登山した日-2007.7.10

十勝岳はガスに包まれて

十勝岳メイン登山口の望岳台は、広い駐車場とレストハウスが完備された十勝岳を望む事ができるビュースポット。

でも朝5時という早い時間もあって観光客は誰も居ません。でも既に何十台という車が駐車しているから既に大勢の登山者がここから十勝岳を目指しているみたい。僕も早速登山開始です。

望岳台はすでに標高1000m近くあって、木々の少ない荒涼としたガレ場が続いていました。遮るものが無いからきっと見晴らしがすごいんだろうなぁと想像しなければならないのは僕の周りを包む濃いガスのせいで視界がゼロだから。しかも今にも雨が降りそうな感じ・・・。

もし今日ずっとガスっていたらどうしよう。雨が降ったらどうしよう。今回の十勝岳登山が残念な結果で終わってしまいそう。いや、天気が悪いのは最初だけさ。天気予報は晴れだったし。

でも山の天気の事だから晴れないかもしれない。などと頭の中でポジティブとネガティブな気持ちが戦っています。ちなみに僕の性格上いつもネガティブが勝ってしまうのがたちの悪い所。

と、あれこれ考えながら歩いていきます。序盤の登りは緩やかで足がサクサク進むほど歩きやすくて楽。とはいえ十勝岳は今も活発に噴火する火山で、草木の生えない殺風景な山肌にこの山の荒々しさを思い知らされるし、大きな石に足を取られたりつまづいたりもする。そんな登りがしばらく続きます。

やがて前方の景色が何と無く明るくなってきました。これは・・・天気が良くなる兆候です

嬉しくて足取りを早めるとガスを抜けて日差しが燦々と降り注ぐ夏空が広がりました。ううっ、朝の日差しが眩しい!でも晴れて嬉しい!

登り始めておよそ40分程で十勝岳と美瑛岳へ分かれ道・雲の平分岐へやってきました。今回の登山では十勝岳・美瑛岳を登ってまたここへ戻る予定です。さあまず最初は十勝岳から登ろう。

十勝岳1 望岳台は十勝連峰を一望できる観光地、ガスが無ければ目の前に十勝岳の大パノラマを拝めるんだけど何も見えなくて残念。

十勝岳2 望岳台から登り始めてしばらくするとガスが切れて天気が良くなってきた。

十勝岳3 ガスが消えると目の前に十勝岳が姿を現しました。

十勝岳4 そびえ立つ十勝岳。

十勝岳5 水蒸気を上げる噴火口。十勝岳が活火山であることを思い知らされる光景。

十勝岳6 十勝岳のあちこちで噴気を上げていました。

火山の脈動

雲の平分岐を過ぎるとガレ場の急登で、高度を上げていくに連れて眼下に見える望岳台はどんどん離れていき、僕を取り巻いていたガスは雲海となって富良野盆地一面に広がる展望が広がるようになりました。

見上げると十勝岳が眼前にそびえてるけど頂きはまだ遥か先。その山頂下にある噴火口からは白い噴煙がたなびいています。

1時間半かけて急斜面を登り切ると平坦な台地に辿り着いて、そこは見渡す限り砂と岩の世界。そこかしこに見える小さなクレータはみんな噴火口で、降り積もった黒い火山灰や火山礫、鼻を突く硫黄のむせるニオイ・・・十勝岳の活発な火山活動をまざまざと感じさせられました。

台地状に広がる砂礫地を踏破すると十勝岳最後の登りに差し掛かり、再び襲う急傾斜に悪戦苦闘しながらも疲労を我慢して、ゆっくり確実に地面を踏みしめて登り続けると、累々と岩が積み重なる十勝岳山頂に立ちました。

十勝岳7 火山礫がが積もった荒涼とした山肌に残雪模様がよく映えますね。

十勝岳8 振り返って見下ろせば望岳台は遥か下。そして富良野盆地一面に広がる雲海を見て思わず歓喜。

十勝岳9 急斜面を登り切ると十勝岳はもう間近。

十勝岳10 黒々とした十勝岳。

十勝岳11 この巨大なクレーターは昭和噴火口。後方に見える山は美瑛岳。

十勝岳12 雲ひとつ無い青空に包まれた十勝岳。

十勝岳13 十勝岳最後の登りに差し掛かります。

十勝岳14 標高2077m、ここが十勝岳山頂で大パノラマの展望が広がっていました。

極上の展望!十勝岳

2077m、十勝岳のテッペンに広がる景色は、北は旭岳・トムラウシなどの大雪山系の膨大な山並みが広がり、南は上ホロカメトックや上富良野岳といった十勝連峰南部の鋭い山並みが連なり、遥か遠くには夕張山地も見えるこの眺望!

山麓は全て雲海に包まれて高い山だけが島のように浮かんでいるように見えるから幻想的で、いつまでも眺め続けていたいけどすごく寒い。快晴で日差しタップリなのに寒い。じっとしているのは登っている以上に辛かったので、山頂での滞在は程々にして次なる目的地・美瑛岳を目指すことにします。

目指す美瑛岳は十勝岳と相対するように目の前に鋭い姿でそびえていました。

十勝岳15 十勝岳山頂から望んだ美瑛岳は険しく荒々しい山容で迫力満点。

死の世界へ立つ

十勝岳山頂を離れると砂礫広がる見晴らし抜群の稜線満歩。

程なくして美瑛岳方面から一人の登山者がやってきました。巨大なザックを背負い少し汚れた風体、無精ひげに覆われた顔の初老の男性はまるで仙人のような雰囲気で、話をすると大雪山方面から縦走してきたそうです。すごい。

美瑛岳の遥か向こうにそびえる大雪の山々までこの登山道が続いているんだと思うといつかは縦走してみたい・・・。

この登山者とすれ違って以降しばらくは誰とも出会わず、ふと立ち止まって辺りを見渡すと大地に草木は無く、殺風景な光景が延々と広がっているから死の世界みたい。そこに僕一人だけがポツンと居ると死の世界に取り残された感じがして、なんとも言えない不思議で寂しい気持ちに陥ってしまいます。

間もなく恐竜の背骨のような鋭い尾根を見せる鋸岳が視界に入ってくると下り道に差し掛かり、そして十勝岳と美瑛岳との鞍部に近づくに連れて死の世界に小さな生命(草)が点々と現れてくるようになってきたのです。

十勝岳美瑛岳16 緑の無い砂礫だけが広がる荒涼とした十勝岳。

十勝岳美瑛岳17 正面に美瑛岳を捉えながら進んでいきます。

十勝岳美瑛岳18 辺りに草木一本も生えて無く、ただただ荒涼とした大地が広がっているだけ。

十勝岳美瑛岳19 十勝岳と美瑛岳の中間に立つ鋸岳。

十勝岳美瑛岳20 鋸岳を巻いた辺りで見上げる美瑛岳。

十勝岳美瑛岳21 雨風で侵食されて出来た不思議な文様。

生の世界へ、そして楽園へ

鞍部へ降り立って来た道を振り返ると十勝岳は鋸岳に隠れてしまってもう見えません。

鋸岳の下りでポツリポツリと現れた小さな生命は鞍部まで来ると大地に縞模様を描くようになり、その縞模様は美瑛岳が近づくに連れて大きくなって、縞模様同士がくっつき合い、やがて花を付け、最終的に広大なお花畑へと変化。十勝岳を歩いていたときには想像も出来ない見事なお花畑が登山道を覆い尽くす中をひたすら歩きます。

いつしか湧き出したガスは、みるみるうちに僕の周りを覆い尽くして視界はゼロ。そうこうしているうちにお花畑が消えて断崖絶壁の痩せ尾根に差し掛かりました。身ぶるいしそうな岩場を慎重に越えると再びお花畑が広がって、可憐な花々を見て危険箇所の通過で高ぶっていた気持ちが一気に収まりほっと一息。

なだらかな斜面を登りつめると、ガスの中にぼんやりと標柱と人影が見えました。美瑛岳山頂に到着です!

美瑛岳22 鞍部から見上げる美瑛岳。

美瑛岳23 美瑛岳の登り途中で振り仰いだ鋸岳。

美瑛岳24 美瑛岳の上部まで来るとガスが湧いて来て山頂から見えなくなっていく・・・。

美瑛岳25 美瑛岳上部は一面のお花畑で圧巻。

美瑛岳26 赤い花はエゾノツガザクラで白い花はチングルマ。

美瑛岳27 岩場にへばりつくイワウメ。

美瑛岳28 美瑛岳山頂は切り立った痩せ尾根になっていて尾根から外れたら奈落の底へ真っ逆さま。

気まぐれな美瑛岳

山頂はガスに包まれて残念無念。それでも時折ガスが切れて一瞬青空が顔を出したりするから、もうじき晴れるんじゃないかな?と期待するも待てど暮らせど晴れる気配はありません。

これは待っていても時間の無駄だなぁ・・・。しょうがいないけどもう下山しよう。美瑛岳山頂を離れると一息つく間も無い下り坂の連続で、ひざが痙攣してきて痛みに耐えられなくなった頃に沢岸へ降り立ち、沢を越えると平坦になってずいぶん歩きやすくなりました。

その頃になってやっと日差しが降り注ぎはじめて晴れてきました!振り返ると荒々しい断崖を見せた美瑛岳が眼前にそびえ立っていて今頃になって晴れなくても・・・と愚痴の一つでもこぼしたい気分だったけどお天道さまの事だから仕方無いか。

平坦な道を1時間程歩いて雲の平分岐へ戻れば終点の望岳台はもう間近。ここから今日歩いた十勝岳を振り返ってみたけど十勝岳山頂だけは僅かに雲に隠れていて望岳台へ降り立った頃には鉛色の雲が十勝連峰を覆い尽くしてしまっていました。(おわり)

美瑛岳29 美瑛岳を離れて下山していくと天気が良くなって美瑛岳が再び姿を見せました。

十勝岳&美瑛岳写真ギャラリー

※クリックすると拡大します。

十勝岳&美瑛岳登山地図

登山に要した時間 / 7時間

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