利尻山~最果ての孤島で名峰を見た

北海道の山

利尻北麓キャンプ場でテント泊をした僕は鴛泊コースから利尻山を登山。7月、北の最果ての地で可憐な高山植物と壮大な展望に出会った登山日記です!

登山した日-2007.7.07

利尻北麓キャンプ場へ

まだ日が高い午後3時。

利尻山北側の登山基地・利尻北麓キャンプ場へ到着した僕はテントを張ろうと受付へ向かいます。受付はプレハブのような建物の中にあって既に先客でいっぱい。とても中に入れそうな感じじゃなかったので空くまで外の景色をぼ~っと眺めながら待っていました。

受付外の駐車場ロータリーには下山してきたばかりの登山客の団体や地元の民宿・ホテルの送迎車、そして今日これからキャンプ場を利用する客たちで大賑わい。程なくして受付が空いたので手続きしながらついでに、受付の夫婦に利尻山の状況を訊いてみます。

ぶっきらぼうな感じの応対にちょっと面食らいそうになったけど、登山の状況を色々丁寧に教えてくれました。受付を終えてテントを設営しながら、明日のプランを頭の中でざっくりと立ててみます。

受付の話だと、団体さんを中心に連日数百人単位で登山者が来ているから出来るだけ早立ちした方がいいとの事。団体さんに囲まれて身動き取れなくなるのはイヤだけど、旅疲れしていたからあんまり朝早く起きたくもない。まあここのキャンプ場はすでに登山口だから朝5時半くらいに出発すれば楽勝かな・・・と明日の予定がだいたいキマリました。

利尻山7月夏1 船上から利尻島が見えて来ると、はるばる北の最果ての地までやって来たんだということを実感。

利尻山への道のり~意外と見えない頂

翌日、人の足音で目が覚めます。

まだ夜中なのに・・・と時計を見ると朝3時になったばっかり。テントから這い出て駐車場を見るとすでに何台か送迎車が到着してぞろぞろと登山者が降りています。

つまり、この時間から利尻山を目指す登山者が大勢居るという事!まだ頭が寝ぼけていて理解するのにちょっと時間が掛かったけど、5時半出発じゃあ周りよりも遅いって事です。

えっこんな暗いのに皆んなもう出発してるの?ちょっと気合入りすぎじゃないの!?とにかくいつまでも寝てる場合じゃないから急いで出発の準備に取り掛かります。

昨日のうちに炊いておいたご飯に味噌汁をぶっかけて急いで食べて、ザックに荷物を詰め込んで、準備運動をして・・・出発準備が整った時は4時丁度。さあ出発しよう!もうこの時間には、キャンプ場はすっかり喧騒に包まれていました。

白みはじめた空の下、序盤からペースは順調でどんどん先行者を追い越していきながら2合目、3合目を通過。序盤は大勢の団体さんに行く手を阻まれて思うように前進できなかったけど、やがて誰も居なくなってマイペースで歩く事ができました。

辺りは孤島とは思えない程針葉樹の深い森に包まれていて、高度を上げるに従ってダケカンバやミヤマハンノキ、そしてハイマツの潅木へ変わる頃には眼下が開けて日本海や礼文島の景色を見下ろせて思わず歓喜の声を上げてしまいます。

ところで目指す利尻山の峰は何処だ?・・・周りを見てもこの時点ではまだ利尻山本峰は見えず。さらに高度を上げ6合目・7合目まで来てもまだ見えず、ただ行く手にはハイマツの急斜面が見えるばかり・・・。このあたりから気持ちがヤキモキ。

『ああ早く利尻山の姿を間近で見たい!』

利尻山7月夏2 登り序盤はエゾマツ・トドマツの深い針葉樹の森歩き。

利尻山7月夏3 針葉樹の森を抜けると見晴らしが利いて日本海や礼文島を見渡せる爽快な景色。

利尻山7月夏4 利尻島の玄関口、鴛泊の街並みを見下ろして。

利尻山7月夏5 6合目へ到着したけど目指す利尻山本峰はまだ見えず、前衛の長官山の頂きが見えるだけ。

利尻山7月夏6 7合目を過ぎると、長官山の急な登りが連続。

利尻山7月夏7 長官山へ到着。随分高いところまで登ってきました。

捉えた利尻の頂!

7合目を過ぎ、ハイマツ広がる長官山の急傾斜を登り切ると8合目の長官山山頂へたどり着きました。

はあ~やっと着いた・・・という安堵の気持は前方の景色で吹き飛びます。

目に前にスッと天を突く鋭い頂が目に飛び込んできたそれは利尻山!山襞に残雪を残し青空にそびえる巨大な岩峰が何の前触れもなく出現したから、感動で思わず声を上げてしまいました。

長官山から先は利尻山を常に望みながらの緩やかな道で、辺り一面ササ原のたおやかな景色が広がるほっと出来る場所です。長官山と利尻山の鞍部に建つ避難小屋を過ぎると9合目最後の登りに差し掛かって、胸を突く急斜面の登りが待ち構えていました。長官山で見た鋭い剣先の形の利尻山は、ここでは刃こぼれした剣先みたくゴツゴツした岩の塊にしか見えません。

登山もいよいよ佳境を迎えました。

利尻山7月夏8 長官山へたどり着くと利尻山が突然出現!前触れ無くこの展望が広がるから本当にびっくり!

利尻山7月夏9 利尻山避難小屋と利尻山。

利尻山7月夏10 ササや灌木に包まれた長官山。

花の楽園に突入!

利尻山の魅力で絶対はずせないのが”花の山”。

8合目まではハイマツやミヤマハンノキの緑の絨毯ばかり広がっていて、花らしきものは殆ど目にしなかったけど、9合目から一気に高山植物が主役に躍り出ます。

足元を彩る赤や白の可憐な花々。そして遠くに手の届かない斜面に一面広がる黄色いお花畑は『ボタンキンバイ』のお花畑。

しばらく登り続けて火山礫が堆積する荒地に来るとここにもなんか黄色い花があります。これは『リシリヒナゲシ』でボタンキンバイと共に利尻山固有の花。そんな珍しい花との出会いに心はワクワク。でも急斜面な登りが続くので疲れて身体はもうヘトヘト・・・。

利尻山7月夏11 9合目へ到着。目の前の利尻山の姿は随分崩れました。因みに目の前の円筒形構造物は簡易トイレ。

利尻山7月夏12 キクのような花はミヤマアズマギクで薄紫色の花がきれい。

利尻山7月夏13 急峻な斜面に広がるオレンジ色のお花畑。この花の正体は・・・?

利尻山7月夏14 オレンジ色の花の正体はボタンキンバイ。

利尻山7月夏15 砂礫地に咲くこの謎のケシの花は一体・・・?

利尻山7月夏16 このケシはリシリヒナゲシで利尻山のシンボル的存在です。

利尻山7月夏17 満開のエゾツツジ。

利尻山7月夏18 純白のエゾノハクサンイチゲが谷間に咲いていました。

絶頂・絶景

頂上が近づくにつれて登山道は一層険しくなり、この頃になるともう花を見る余裕は消え失せていて、滑りやすい危なっかしい場所を慎重に越えていこう!という気持ちしか出ません。

難所ををいくつか越えたら頂上の祠が間近に見えてきたけど、人影は無く誰も居なさそう。という事は僕が山頂一番乗りかも?最後の力を振り絞って山頂に到着!やった!一番乗り!と思ったら先客がいました。恰幅のよい30歳後半くらいの男性が一人。という事で僕は二番乗り。

山頂から見えるものは青い海と空。そして360度見渡せる利尻島が圧倒的な高度感で広がっていて今までの登山では味わった事のない感覚。先客の男性もこの壮大な景色に少し興奮気味で、2人で絶景の感激を分かち合いました。ちなみにこの男性、普段は全く登山はしないんだと笑って話してくれました。

独り占め状態だった狭い山頂の空間は時間が経つにつれて登山者がやってきて少しずつ窮屈になってきます。

『あのーすみません、シャッター押してもらえませんか?』

何人かの登山者に写真をお願いされたので撮ってあげました。ファインダーごしに見る登山者たちの表情は達成感と満足感に満ち溢れていてみんな笑顔。なんだかこっちまで笑顔になります。

そうこうしているうちに下の方から、何十人もの団体さんの行列が間近に見えてきました。途切れる事の無い人の行列は蟻のよう。そろそろ山頂を離れるタイミングかな。まだ山頂に居たかったけど、なんだかんだ言って1時間半も居続けたしもうこれで充分。さあ下山しよう。

利尻山7月夏19 山頂の祠が見えてきました。あともう少し!

利尻山7月夏20 利尻山の山頂へ到着しました。

利尻山7月夏21 山頂の光景。写真左は南峰で最高点だけど登山道崩壊で立入禁止。右に見える奇怪な岩はローソク岩。

利尻山7月夏22 ローソク岩の景色。

利尻山7月夏23 定期船が鴛泊港に近づいているのが見えます。

利尻山7月夏24 遮るもののない大パノラマが広がる利尻山の景色は一生忘れないと思う・・・。

下山しても利尻山

正午前に登山口の利尻北麓キャンプ場へ降り立つと、朝の喧騒はどこへやら。お昼時だというのに人影は無くひっそり静まりかえっていました。

とりあえずもう一日ここに泊まる予定だし、日暮れまでまだ時間がたっぷりあるから利尻島内を一周してみよう、と乗って来たバイクで島をぐるっと廻りながら観光ポイントや土産店等色々立ち寄ってみました。

利尻島の東西南北、どの場所に居ても常に視線の中に利尻山のあの尖った姿が目に入ってきます。相変わらず青い空をバックに天高くそびえる利尻山。午前中はあの山頂で絶景を堪能し、そして今は麓から絶景を仰ぐ。一年で数える程くらいしかないだろう雲一つ無い晴天の下、今日これだけ利尻山を堪能できたなんて僕は今日一番の幸せ者だったかもしれません。

利尻山7月夏25 利尻島西部の沓形岬から見る利尻山。

利尻山7月夏26 利尻島南西から望んだ利尻山。

利尻山7月夏27 利尻山と青空とバイクと。

利尻山写真ギャラリー

※クリックすると拡大します。

利尻山登山地図

登山に要した時間 / 8時間

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