羊蹄山~天空の楽園・雲上のお花畑

北海道の山

倶知安(比羅夫)コースから羊蹄山登山に挑戦。キツイ登り坂に先に広がる高山植物のお花畑はまさに楽園でした!

登山した日-2007.6.27

深い原生林の中を行く

小雨が舞う倶知安町。見上げる空は鉛色の雲が垂れ込めで羊蹄山は見えず・・・朝からそんな天気だからテンションが上がりません。それでも今日の予報は晴れ時々曇りと出ているから、それを信じて羊蹄山の西側にある倶知安(比羅夫)登山口へ向けて一直線の道路をひた走ります。

国道5号線から山道へ入って少し進むと広い駐車場のある倶知安登山口が見えてきました。早朝にも関わらず数台の車と一台のバイクが停まっていました。でも人の姿はゼロ。

登山を開始したのは午前5時半過ぎで、登り始めは緩やかで足取りも軽やかだから、どんどん先へ行けるような気がします。見上げれば密林が空を覆い尽くしています。どの木も大人数人でやっと抱え込めるような太い幹周りの巨木ばかりで、原生林の真っ只中を今歩いているんだ!という事を感じます。

クリスマスツリーの形をしたエゾマツ・トドマツ、真っ白い樹肌のダケカンバがガスに包まれると、黒いシルエットで浮かび上がってすごく幻想的。 でも日の差し込まない森の中は薄暗くて、ジメジメしていてそこに僕一人だけがポツンと佇んでいると思うとちょっと薄気味悪い感じ・・・。

高度を上げていくに連れてガスは少しずつ薄くなって景色全体がなんだか明るくなってきました。そして2合目と書かれた看板が見えた所で、森が切れて青い空が僕の頭上に広がりました。やった!天気が晴れたぞ!

羊蹄山比羅夫登山口1 比羅夫登山口はトイレや水場・キャンプ場もあるから前日に此処へ泊まるのもアリ。

羊蹄山比羅夫登山口2 登り序盤はガスに包まれた深い原生林の中。

羊蹄山比羅夫登山口3 2合目へ到着。なんだか霧が晴れてきたぞ。

針葉樹の森からタコガンピの森へ

2合目にはちょっとした見晴らし場があって、眼下の雲海やニセコの山々を眺める事が出来てテンション上昇。何より嬉しかったのが、晴れた空が一面の快晴だった事!今日一日快晴が約束された素晴らしい空を見て、今回の羊蹄山登山が成功裡に終わる事を確信します。登山において晴れてくれる事がどれだけ心強い事か!テンションUPに併せて体力気力もUP、登山パワーがみなぎってきます。

でも嬉しい事はここで一旦おあずけ。というのも、再び樹林帯で展望は無くなるだけでなく、傾斜を増した直登が僕の体力を奪いにかかってきたからです。

3合目、4合目とどんどん高度を上げて行き、5合目まで来ると序盤で見た巨木たちはもう姿を見ることは無く、代わりに現れたのが奇妙な樹形をしたダケカンバ。序盤に見たダケカンバの巨木は、ここではタコのようにぐにゃりと枝が曲がり、横に這うような姿をしているのです。その姿形から『タコガンピ』とも呼ばれるダケカンバは風雪に虐げられて造り出された自然の造形美です。

羊蹄山比羅夫登山道4 エゾマツ・トドマツ・ダケカンバの深い森。

羊蹄山比羅夫登山道5 木々の切れ間から望むニセコの山。

羊蹄山比羅夫登山道6 風雪によってねじ曲がったダケカンバはまるでタコのような樹形。

急登、急登、また急登

息をする暇もない強烈な登りが依然続く登り道。

確実に高度を刻んでいるものの、視界が『タコガンピ』に覆われて何も見えないから視覚的に自分が今何処まで登ったかが判らず、本当に山頂へ近づいてるのかな?と、疑ってしまいます。

疲労で足取りが乱れて心臓がバクバク鼓動していて今にも破裂しそう。あぁ苦しくて死にそう・・・今直ぐ登山を中止して下山したい。そんな弱音をポロリと吐きそうなほど、長くてキツイ道のりが続きます。

それでも一歩足を上げれば確実に前進していく。タコガンピの背丈が低くなりハイマツが混じってくると、もうすぐ展望が開けるんじゃないかと期待感が出てくる。と、突然岩場に出るとタコガンピの森を抜けて遮るもののない大パノラマが眼下に広がったのです!

や・・・やった、見晴らしのある所まで来たんだ。

ここは9合目でした。疲労で思わずへたりこんで水を飲み、飴玉を口に入れて少し休むとバクバク鼓動していた心臓の動きが収まって幾分楽になり、ようやく目の前に広がる絶景を眺める余裕が出てきました。

足元から一気に落ち込んだ裾野の広がりはかなりの高度感で、ちょっと身震いしそう。裾野の先には倶知安やニセコの街並みやパッチワーク模様の畑が広がる北海道らしい広大な平野が何処までも続いていました。見ていても飽きない景色、しばらくここに居たい。でもここは山頂じゃなくまだ9合目、もう少し歩かないと行けないんだ、そろそろ出発しようか。

ヘロヘロの身体と心にムチを打って歩き始めます。

羊蹄山比羅夫登山道7 ここは8合目。灌木に包まれてまだ視界は開けず・・・。

羊蹄山比羅夫登山道8 9合目へ到着。ここで潅木帯を抜けて見晴らしが開けます。

羊蹄山比羅夫登山道9 9合目から見下ろすニセコ方面。随分高いところまで来たなぁ。

雲の上に天国を見た

9合目から先は今までの景色が一変して色とりどりのお花畑が広がります。

斜面に広がる草原は高山植物の花園で、花があまりにキレイだから歩くのを止めてザックを放り出してしばらく堪能。心地良いそよ風がお花畑を吹き抜けるとチョウが風にゆらゆら流されながらどこかへ飛んでいく。日差しはポカポカしていてなんとなく眠たくなってしまう・・・。登山者は誰一人居ないから登山道の上に寝そべってみよう。仰向けで天を眺めながらうとうとしていると、天国の雲の上で寝ているような気分でした。

眠気が取れたら再び登山開始です!

ハイマツの海が広がる急斜面を登り切ると、大小の窪みのある広い平坦地へ到着。ここはもう羊蹄山山頂部で窪みは火口の跡です。火口は大きさ順に『母釜』『子釜』と名前が付けられていて、近づいて見ると隕石の衝突跡みたく地面に大きな穴がぽっかり開いていました。それらの火口を挟んだ先に羊蹄山の山頂を捉えます。

いよいよ登山も佳境を迎えました。

羊蹄山比羅夫花10 9合目最後の登りにさしかかります。一見荒涼とした世界が広がるけど高山植物がとても豊富。

羊蹄山比羅夫花11 草原に咲くシラネアオイ。

羊蹄山比羅夫花12 鮮やかな紅い花はエゾノツガザクラ。ツツジの仲間です。

羊蹄山比羅夫登山道13 9合目の斜面を登り切ると広々とした火口群へ到着。

羊蹄山比羅夫火口14 正面の窪みは母釜の火口。向こうに見える山壁が羊蹄山の最高点。

羊蹄山比羅夫火口15 大きな口を開けた父釜火口。

羊蹄山比羅夫花16 斜面にクリーム色のツツジが沢山咲いています・・・一体なんのツツジでしょうか。

羊蹄山比羅夫高山植物17 そのクリーム色のツツジの正体はキバナシャクナゲでした。

火口を一周

母釜・子釜の小火口の先へ行くと巨大な火口が足元に広がりました。『父釜』火口で、この火口の外輪をなぞるように進んでいくと羊蹄山の山頂へ辿り着きました。

誰も居ない山頂から見える北海道の広大な光景と、息を飲む父釜火口の迫力に呆然。その景色を今僕だけが独り占めだから最高の気分です!そうこうしているうちにポツリポツリと登山者がやって来て賑やかになった頃には、山頂に居座り続けて1時間が経とうとしていました。

もう存分に展望を堪能したしそろそろ下山しようか。 帰りは父釜をぐるりと一周。外輪山の鋭く切ちる痩せ尾根を歩いていくと真狩コースと合流し、砂礫のゆるやかな登り道を歩き続けると、母釜・子釜まで戻って倶知安コースと合流します。

倶知安コースへ向かえば今見える父釜、母釜、子釜の火口をはじめ、羊蹄山山頂も見えなくなってこの景色とオサラバ。だからここでこの景色を十分目に焼き付けてから此処を離れました。(終)

羊蹄山比羅夫山頂18 羊蹄山の最高点へ到着。

羊蹄山比羅夫山頂19 最高点から見下ろす父釜は大きな口を開けています。

羊蹄山比羅夫山頂20 父釜の外輪は険しく切れ立った岩稜地帯た。

羊蹄山比羅夫山頂21 父釜の岩稜地帯を行く。特に危ない所は無いけどアップダウンの連続。

羊蹄山比羅夫山頂23 外輪から眼下を見下ろすと麓の真狩村まで裾野が一気に下までグーンと落ち込んでいて圧倒的な高度感。

羊蹄山比羅夫山頂22 ウラジロナナカマドの白い花と羊蹄山避難小屋。

羊蹄山写真ギャラリー

※クリックすると拡大します。

羊蹄山登山地図

登山に要した時間 / 8時間

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