朝日連峰・大朝日岳~出羽の山旅夏休み編

鳥海朝日/和賀山塊

登山した日-2008.8.10~11

荷物OK!登山道具OK!よし、これで準備完了。いよいよ朝日岳へ向けて出発だ!

日が沈んだ夕方の時間。僕は山形県の朝日連峰へ向けてバイクで出発します。埼玉東部を走る国道4号線に出ると一気に北を目指してひたすら夜の街を走ります。今回一緒に同行する友人のS君は、もう既に山形入りをして道の駅で待っていると連絡を貰ったばかり。

朝日連峰を目指して

朝日連峰の最高峰・大朝日岳(1870m)は以前から行きたい山の一つで数年前に地図まで買って準備していたにもかかわらず、アプローチの遠さからなかなか行けずじまいに終わっていました。

真夜中の国道4号線、車の流れは順調で宇都宮市・郡山市と抜けて福島市へ到達。福島市からは西に進路を変えて米沢市街へ。真夜中午前2時にはS君が居る『道の駅いいで』に到着しました。少し休憩して日が昇った朝に朝日岳の登山口・古寺鉱泉を目指します。

朝日連峰の麓を貫く峠を走っていると遠くに朝日連峰が見えてきました。8月のお盆時期だというのに山襞にはまだ残雪が残っているのを見て、朝日連峰がいかに険しい山であるかを思い知らされると同時に山塊の大きさに圧倒されます。と、同時に早くあの頂に立ちたいという気持ちが湧き出てきました。

大朝日岳1 朝日連峰が遠くに見えてきました。

長い登りが続く鳥原山コース

登山口ある古寺鉱泉駐車場は登山客たちの車でほとんど満杯。登山準備をしてるとスズメバチみたいな巨大なアブに執拗に攻撃されます。厳しい自然の洗礼にこれから始まる登山のキツさを思い知らされるようです。

登山口へ入って古寺鉱泉までの道のりはいたって平坦で、程なくして古寺鉱泉へ到着。でもこの先からは胸を突く急斜面の登りで序盤からバテそう。そもそも昨日から不眠不休でここまで来たから余計にツラいのかもしれません。

ガマンして登り続けると尾根道に出て勾配がいくぶん緩やかになり身体もほぐれて多少楽になります。とは言ってもひたすら登りが続くので完全に楽になる事はありません。

ところで、東北の山といえばブナの森がとても豊かです。朝日岳も当然そうなのかと思いきやそんな事は無くて、ずっと雑木林のような森が広がるばかり。もちろんブナの木もあるけど他の木に押されてイマイチ目立ちません。逆に言えば色々な木々で構成されている豊かな森が鳥原山コースには広がっているのです。もしかしたら大朝日岳の他のコースはブナの森がスゴイのかもしれませんが・・・。

ちなみに森の深さは超一級。もし谷筋に迷い込んでしまったら、ちょっとやそっとでは抜け出せなさそうな鬱蒼とした森の雰囲気は本コース随一の見所です。でも1時間、2時間・・・と登り続けても変わらない単調な景色に飽きてきます。

早くこの森から抜け出たい・・・!前方が緩やかになってきました。そろそろ森を抜けて尾根へ出るのかな。と期待するもその先になお続く深い森を見て落胆・・・これを何度も繰り返すまさに体力と精神との戦いです。

大朝日岳2 登山口へ入ると広がる緑豊かな深い森。

大朝日岳3 鳥原山コースに広がる森は深くて鬱蒼とした雰囲気。

湿原のそばに建つ鳥原小屋へ

登り始めてから3時間が経とうとした頃、やっと森が開けて潅木と湿地が広がる明るい空間に出ました。ここまで来れば今日の目的地の鳥原小屋はもうすぐです。

湿原の中を5分ほど歩くと高台に建つ鳥原小屋が見えました。入り口まで行くと一人のおじさんが立っていて小屋番の方でした。明るくてお喋り好きなおじさんです。受付をして料金1000円を払って建物の中に入りました。

鳥原小屋はいわゆる避難小屋で通常は無人。夏山シーズンに入ると管理人が常駐しますが、食事の提供は無くて完全素泊まりのみです。今日の宿泊者は僕らを入れて10人ちょっと。お盆だというのに人は少なくてとても静か。険しくてアプローチが長いコースだからそんなに人が来ないのかな・・・。と思いきや、小屋の管理人さんいわく大朝日岳頂上にある山小屋は大混雑すると言っていました。

ご飯を食べ終わる頃には日も沈みすっかり暗くなりました。と、同時に疲労がどっと出てしまって意識が遠のきそう。そりゃそうだ、昨日の夜からほぼ不眠不休で山形まで移動して今日の登山。寝袋にくるまって横になるとすぐに意識が無くなっていました。

大朝日岳4 長い登山道を登り切ると鳥原山山頂と鳥原小屋間の分岐点へ到着。今日の目的地・鳥原小屋まであと少し。

大朝日岳5 辺りは湿原が点在する潅木地帯。

大朝日岳6 樹林帯を抜けると小さな湿原で出ました。湿原の中の木道を歩いていきます。

大朝日岳7 湿原の高台に建つ鳥原小屋へ到着。今宵の宿です。

大朝日岳8 鳥原小屋。基本的には避難小屋だから簡素だけど静かで居心地は抜群。

晴天の朝

真夜中1時にパッと目が覚めてからはなぜか寝付けず、暇を持て余したから小さな窓から外を覗くと一面の星空!今日も好天が期待できそうです。

それから少しうとうとして朝3時30分起床。他の登山者はまだ就寝中だったから音を立てまいと気を遣いながら出発の準備をしました。外に出ると白み始めた空の下、雲海広がる幻想的な光景が広がっていてこれぞ山に登った者だけが堪能できる絶景に思わず絶叫。

出発準備が整って登山スタート!まず最初に鳥原山(1430m)を登ります。

すでにこの辺りは森林限界の灌木帯。だから視界が良くて日の出と雲海の広がる景色を背中に受けながら登っていき、小屋から20分ほどで鳥原山山頂へ到着。次なるピークの小朝日岳(1647m)が、鳥原山から続く尾根の先に大きく立ちはだかっていました。

その小朝日岳の左寄り奥にさらに一際高くそびえる三角の山が見えます。主峰・大朝日岳です。しかしここから見ると随分遠いなぁ・・・。本当に今日あそこまで辿り着けるの?と、思わず尻込みしそうなくらい遥か遠くに悠然とそびえていたのです。

鳥原山から次の小朝日岳までは約2時間の尾根歩きが続きます。雲一つ無い青空の下、見渡す朝日連峰の山々を眺めながらの尾根歩きはとても爽快・・・と言いたい所だけど、あまりに天気が良すぎて強烈な日差しに晒されるから体力の減りが尋常ではありません。しかも尾根筋なのに風は無く、湿気に包まれて暑くてたまりません。

大朝日岳9 翌朝。鳥原小屋から望んだ眼下に広がる雲海はすばらしかった。

大朝日岳10 鳥原山の登りに差し掛かると、目の前にこんもりした鳥原山が見えてきました。

大朝日岳11 左に主峰・大朝日岳(1870m)と右に小朝日岳(1647m)。鳥原山より望む。

大朝日岳24 小朝日岳の登り。キツイし暑いし死にそうだ。

大朝日岳12 振り返ると朝日に輝く雲海が眼下に。

小朝日岳から望む大朝日岳

たどり着いた小朝日岳の山頂は一面ハイマツに覆われた見晴らしバツグンの場所でした。ここから望んだ大朝日岳は鳥原山で見た時よりもずっと雄大。一面蒼い草原に覆われ、山襞に残雪をしたがえて青空にそびえる姿は、孤高の山らしい雰囲気を見せてくれます。

地図で見れば大朝日岳まで2時間程ともう一息という所まで来てるけど、あまりに孤高すぎる雰囲気だから視覚的には大朝日岳との距離は2時間以上あるように感じてしまいます。

小朝日岳を離れると、いきなり急斜面の下り道になります。折角登ったのにまた下るなんて・・・そんな愚痴をこぼしたくなる程下ると森に覆われた最低鞍部(熊越)へ降り立ちました。その先は緩やかな尾根状の登り返しがずっと続きます。今までハイマツや潅木ばかりだった光景の中に、色とりどりの高山植物が咲き始めるようになるのも丁度この辺りからでした。

大朝日岳直下にある『銀玉水』という水場で水分を補給して、いよいよ大朝日岳最後の登りに取り掛かります。辺りは草原とお花畑が続く急登で、ここを登り切ると平坦な草原に出ると同時に目の前に中岳(1812m)、西朝日岳(1813m)の主峰群が目の前に広がってきました。

大朝日岳の肩に建つ大朝日小屋へ到着すると、小屋の周りには大勢の登山客が休んでいて随分と賑やか。ここから見上げた大朝日岳山頂はもう小さな丘でしか見えません。小屋に荷物を置いて身軽になってその丘を駆け上がります。

大朝日岳13 小朝日岳より望む大朝日岳。まだまだ距離がありますね。

大朝日岳14 大朝日岳が大分近づいてきました。

大朝日岳15 銀玉水付近の草原。

大朝日岳16 たおやかな姿の中岳。

大朝日岳17 大朝日岳と大朝日岳の肩に建つ大朝日小屋が見えてきました。

大朝日岳、山での一期一会

大朝日小屋からガレた斜面を登る事およそ10分、辿り着いた大朝日岳の頂はとても広くて360度の大パノラマが広がっていました。何処までも続く朝日連峰の膨大な山容に圧倒され、雲より高い所に立った爽快さを身体で感じ、そして長く険しい道をここまで歩いて到着した達成感を存分に堪能します。とても1800mの山を登ったと思えない、最高の感覚でした。

しばらく山頂の景色に見とれていると、山頂の脇で腰を下ろしていた中高年の登山者グループに声をかけられます。

『あら~若い人達がいるなんて~ちょっとコレ余ってるんだけど食べない?』

と渡されたのはおにぎり。最初は遠慮するも、ずっと勧めてくるから有り難く戴く事にしました。ところがおにぎり一つだけかと思いきやお弁当やお菓子など他にもどんどん食べ物を勧めてくるのです。

『いやぁさすがにそんなに沢山は・・・』

『 遠慮しなくていいのよ!ホラホラ、早く受取って!』

押し問答のようなやりとりをしながら、今回の登山で出会った登山者とのやりとりを思い出してみます。鳥原山の山小屋で。途中の尾根道で。お花畑で。銀玉水の水場で。そして今居る山頂で・・・。いろんな場面で出会った登山者たちとのやりとりは他の山ではありえ無い程濃密でした。

あっという間に過ぎていく山頂の時間。朝は澄み渡っていた視界も日が高くなると霞んできました。名残惜しいけどそろそろ下山するタイミングです。山頂を後にして歩いて来た道を戻り、銀玉水にたどり着いた時には空は曇ってしまい、大朝日岳はすっかり見えなくなってしまいました。

大朝日岳18 大朝日岳最後の登り。

大朝日岳19 すっかり色褪せたヒナウスユキソウの花。

大朝日岳20 タカネマツムシソウが満開。初秋を告げる花の一つです。

大朝日岳21 大朝日岳山頂へ到着。

大朝日岳22 深い朝日連峰の山々がどこまでも広がります。

大朝日岳23 下山時に大朝日岳を見上げたものの雲に包まれてもう見ることはできませんでした。

大朝日岳写真ギャラリー

※クリックすると拡大します。

大朝日岳登山地図

登山に要した時間 / 【1日目】4時間+【2日目】11時間 合計15時間

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