南アルプス・北岳~真夏色の山稜へ【前編】

南アルプス

夏山シーズン到来の北岳!今回はメイン登山口の広河原から八本歯のコル経由で北岳山荘でテント泊。翌日北岳を目指します。8月夏山シーズンの北岳はマイカー規制が敷かれるので広河原までマイカーでは行けません。手前の芦安で駐車して路線バスに乗り換えて行く事になります。

※この記事は全2ページあります。

登山した日-2012.8.04~05

大混雑の芦安バス停

今回は5人パーティーで挑む北岳。都内に住む友人4人は新宿から広河原までの夜間登山バスを利用し、熊谷に住む僕はバイクで直接芦安へ向かいます。

早朝4時。埼玉山梨県境を越えて甲府入りして、国道20号線から県道5号線を進むと終点の芦安バス停まであと少し。早朝だからクルマなんて走ってないよね、なんて思ってたら前方をゆっくり走る路線バスの車列に追いつきます。こんな朝早い時間に山へ向かってるということは広河原方面行きのバスだということに気が付きます。

しばらくすると後ろからも沢山のバスや車が追いついて長い車列に!芦安バス停に近づく頃には大渋滞にはまって身動きが取れなくなりました。芦安まで目と鼻の先なのに・・・ここで足止めを食らうなんて!でも、こういう時はバイクの機動力が発揮!渋滞をすり抜けて芦安バス停へ着くと駐車場はすでにクルマで満杯。広河原行きのバス乗り場には登山者の長い行列が出来ていました。

5時30分発の広河原行きまであと10分しかなかったので、急いで支度をして乗車券を買ってバス停に並びます。僕の前には80人くらい並んでいます。しかし今止まっている臨時便も含めた全てのバスはもう満員。もしかしたらこの時間のバスに乗れないのかなぁ?不安がよぎります。

間もなく係員からアナウンス。

『今お並びのお客様はバスの通路に立ったままの乗車になります。』

これから広河原までの片道1時間、悪路のクネクネ道の中をバスの中でずっと立ってなきゃならないなんて・・・北岳の試練はここから始まります。

超絶混雑の広河原

登山者を一杯に乗せたバスの一行は、時速2~30キロほどのゆっくりとした速度で南アルプス林道を登っていきます。クルマ一台がやっと通れる広さしかない林道は時々対向車が来ると路肩ギリギリに寄せながら進みます。路肩の下は奈落の断崖絶壁。もし運転手が運転を誤ったらそのまま谷底へ真っ逆さま!なんて想像するといい気分じゃありません。

真っ暗な夜叉神峠のトンネルを抜けると、真っ青な空の下に白峰三山の連なりを初めて拝む事が出来てほんの少しだけ気持が晴れやか。

バスに揺られる事1時間20分、広河原へ到着。バス停は各方面からの路線バスやツアーバスで大混雑。バスから吐き出された登山者であらゆるスペースが人で溢れていてその喧騒は渋谷や新宿駅構内と同じです。ここで友人と合流する予定だけど人の多さでどこにいるのか判らず、山の中だから携帯電話も繋がらず・・・。

友人を探し求めて涙目になりながら彷徨うこと30分、広河原山荘でやっと合流出来て北岳へ向かいます。広河原の長い吊り橋を渡った先の遥か向こうに北岳と東側岩壁(バットレス)が朝日に輝いて悠然とそびえ立っていました。

北岳1 広河原から見上げた北岳。

大樺沢に沿って登る

登山口へ入るとモミや広葉樹の深い森の中の緩やかな登りで、やがて大樺沢の流れる音を左に聞きながらの登りへと変化。あちこちから滲み出る水でぬかるんだ地面を踏み越えながら進んで行くとヤナギの潅木になって視界が開け北岳がひょっこり姿を現します。広河原で望んだ時よりも間近にそびえて迫力満点!

吊り橋を渡ると、大樺沢の左斜面を巻くように登山道は何処までも続いていて僕達の前後は人・人・人だらけでまるで大名行列。前方から降りて来た登山者は絶え間なく続く人の列にうんざり気味な様子で登山者が通りすぎるのを待ち続けていました。

大分登ると水量豊富だった大樺沢の流れは小さくなって色とりどりの花が咲く草地が登山道脇に広がるようになりました。

そして大樺沢上部に横たわる雪渓の末端までやってくると大樺沢二股へ到着。ここは様々な登山コースの分岐点で仮設トイレが完備された休憩ポイントになっています。だから沢山の登山者で溢れ返ってとても賑やか。

ここで一息ついていよいよ今日の核心・大樺沢雪渓と八本歯のコルへの登りに挑みます。

北岳2 緑に包まれた大樺沢。遠くに見える尾根は八本歯のコル。

北岳3 前も後ろも人だらけ。登山道は狭いから追い越すことは出来ず行列の速度に従うしかありません。

北岳4 大樺沢雪渓の末端まで来ると頭上に北岳のバットレスを望むことが出来ました。

北岳5 雪渓の上は空気がひんやり。でも日差しはギラついて焼けつくような感覚。

北岳6 振り返れば遠く向こうに鳳凰三山が見えました。

北岳7 大樺沢二股から見上げる大樺沢雪渓。雪渓の上の尾根が八本歯のコル。これからここを登って行くけどかなりの急勾配!登りきれるか不安だなぁ。

大樺沢雪渓を踏みしめて

大樺沢二股からは先は雪渓上を登っていきます。すっかり日が昇って気温も上がっていたから雪は腐っていて、蹴り込むとステップを刻む事が出来るからアイゼンは必要なさそう。

白く輝く大樺沢雪渓は歩いて見ると腐植土で汚れていてドブ臭さが少し鼻に突く感じ。登れど続く終わりの無い急勾配の雪渓登りのしんどさに音を上げそうで、苦しさのあまり天を仰ぐと北岳バットレスの荒々しい岩壁が目に飛び込んで来て、今にも僕達に覆い被さってきそうな勢い。ツラい・・・早く楽になりたい。

雪渓を登るスピードは亀のようにノロノロだけど、仰ぎ見るバットレスの姿形が少しずつ変化してるのに気づくと『僕達は着実に目的地へ近づいている!』事を実感出来て希望も湧いてきます。だから必死で我慢して一時間かけて雪渓を登り切ってザレ場へ到着。ここまで来れば八本歯のコルは間近だけどもう限界・・・。

時刻は正午前。気温の上昇と共にガスが湧き始め、北岳バットレスはガスに覆われ始めました。

ザレ場から先は潅木帯の中、階段上のキツイ登りの連続で、10歩進めば息が切れて立ち止まって息を整えてまた前進の繰り返し。

ハイマツが広がる辺りまでくると賑やかな人の声が聞こえてきます。そして人だかりのある尾根上の小さな広場へ到着しました。八本歯のコルです。やっと此処まで来れた・・・時刻は午後1時を廻っていました。

北岳8 延々と続く大樺沢雪渓の登りは無限地獄。キツイ。

北岳9 今にものしかかって来そうなバットレスの岩壁。

北岳10 大樺沢雪渓を登り切ってザレ場へ到着。ホッと一息、雪渓の登りは本当にキツかった。

北岳11 ザレ場から大樺沢雪渓を見下ろした向こうには鳳凰三山。

北岳12 八本歯のコルから見上げた北岳バットレス。このあとガスに包まれて見えなくなりました。

お花畑広がる北岳南斜面

八本歯のコルを越えると瓦礫とハイマツが点在する荒涼とした世界に変わり、同時に高山植物のお花畑が広がるようになりました。登山道の周りはそれほど花は無いけど、登山道から切れ落ちた断崖を覗きこむと岩場にはびっしりと花が咲いていてロックガーデン状態。

岩場を登り続けると北岳山頂と北岳山荘との分岐点に到着。北岳山荘方面へ進むと、一面のお花畑が広がるようになりました。登山道は北岳を巻くように続いていて平坦だからツラい登りから開放された事も相まって、この道が天国に感じます!

白い豆のような花を付けるイワオウギ、黄色い梅の花のようなキンロバイ、紫が鮮やかなイワギキョウ・・・登山道の前後左右、上下どこを見ても見事なお花畑!全体的に見頃を過ぎてやや色褪せていたものの、それでも見応え十分。

一つだけ残念だったのは天気がガスっていた事だけ。ああ、出来る事なら青空の下でこのお花畑を見たかったな。

北岳を巻き終わると北岳~間ノ岳間の主稜線に合流して、ここ下れば今日の目的地・北岳山荘はもうすぐ。ガレ場の斜面を下り続けるとガスの切れ間から色とりどりのテントのお花畑が見えてくれば北岳山荘へ到着です。

すでにテントサイトは満員状態だったけど、外れにぽっかり空いた所があったのでそこへテントを設営。

辺りを覆ったガスはその後も取れる気配は無く、甲府盆地をわずかに拝めた程度で日暮れを迎えました。果たして明日は晴れてくれるのかな?今見る限りとても微妙な天気なのでちょっと心配。

真夜中。トイレへ行こうとテントから外へ出ると満天の星空が広がっていました。うん、明日はまちがいなく快晴です!

北岳13 岩場に咲くタカネビランジ。

北岳14 ミネウスユキソウ。エーデルワイスの一種。

北岳15 ガレ場に咲くチシマギキョウ。

北岳16 黄金の梅の花みたいなキンロバイ。

北岳17 イワヒバリがお花畑の中を飛び回っています。

北岳18 北岳南斜面のお花畑。

北岳19 北岳山荘のテントサイトから見上げる北岳はガスの中。

北岳写真ギャラリー

※クリックすると拡大します。

北岳登山地図

登山に要した時間 / 一日目約8時間+二日目約8時間 合計16時間

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