和賀山塊・和賀岳&薬師岳~夏・遥かなる草原の頂へ

鳥海朝日/和賀山塊

秋田県と岩手県にまたがる和賀山塊の東側、秋田県大仙市の真木渓谷に沿って続いているダート道の真木林道を、僕は友人のS君と一緒にバイクで走っていました。あと少しで和賀岳の登山口がある甘露水口へたどり着くはず。もう少しの辛抱です。

登山した日-2008.8.13

秋田県大仙市・甘露水登山口へ

やがて目の前に山小屋風の建物(避難小屋を兼ねたトイレ)と傍らの広場に停まっている2台の車が見えてきました。登山口へ到着です。8月のお盆真っ只中で今がイチバン登山で賑わう時期だけど、ここ甘露水口はひっそり。トイレの小屋は最近建てられたばっかりなのか新しく立派な造りでしたがここにも人は居ない様子でした。

さて今回の登山はここ甘露水口から薬師岳(1218m)→小杉山(1229m)→小鷲倉(1354m)を経て和賀山塊最高峰の和賀岳(1440m)を目指すというもの。

数年前に初めて訪れた和賀山塊。その時に登った木影山という標高600mにも満たない小さな山を登っている途中で見上げた和賀山塊の山々を見た時に、なんて和賀山塊って山深いんだろう!って感激してから、いつかは和賀山塊の稜線に立ちたいとずっと思い続けていました。

それに和賀山塊は「日本最後の秘境」とも言われている程自然が豊か。だからますます和賀山塊に惹かれたのです。

深い森に包まれた和賀山塊

駐車場の先に甘露水の湧き水があって、そばに登山口があります。登り始めはスギの薄暗い人工林が広がり真夏の日差しが降り注いで来ないから涼しくてちょっと快適。でもこのスギ林の中は湿っぽくて少し陰鬱な感じ・・・。足元は一面のシダに覆われていてまるで太古の森の雰囲気です。

所々水が染み出たぬかるんだ道を登っていくと、スギ林を抜けて『ブナ台』へ到着。ここからはブナが広がる尾根通しの道へと変わってしばしの間ブナの木々達とお付き合い。ブナの森といえばブナばかりの変化が無い単調な森をイメージしがちだけど、ここ和賀山塊のブナの森は高度を上げるに連れて木々の密度が濃くなってきたり、幹周りも太くなったり、樹高も首が痛くなるほど見上げなければ見えない高さになったりと、森の雰囲気がどんどん変化していくので見飽きません。

登山口と薬師岳との中間に位置する、『滝倉避難小屋跡』へ到達した辺りがイチバン森が深くて、まるで巨人たちに囲まれたような圧迫感と圧倒感を感じながら、いよいよ険しくなってきた登山道を登り続けます。

薬師岳和賀岳1 ブナ台。名前の通り辺りはブナの森が広がっています。

薬師岳和賀岳2 巨木の森が広がる和賀山塊。

ついに立った和賀山塊の主稜線

ブナの森を抜けると日差し降り注ぐ明るい灌木地帯に出ました。だから見晴らしが利いて秋田岩手の県境に沿って南北に連なる和賀山塊を望むことが出来ました。晴天が広がる秋田側に対して岩手側は一面の雲海。その雲海は山を越えて秋田側へゆっくり流れ落ちてるものの、途中でふっと消えてなくなっていました。

正面を仰ぐと見える草原に包まれた丸い頂は薬師岳です。大声を出せば届きそうな距離だけど勾配がキツイ所だからペースが上がらず薬師岳はなかなか近づいてくれません。ちょうどこの辺りから色とりどりの高山植物が現れて僕達を励ましてくれます。

急斜面を登り切って主稜線へ出て、草付きの斜面を登り切ると薬師岳山頂へたどり着きました。山頂からは目指す和賀岳がずっと遠くに悠然とそびえ立っていました。

薬師岳和賀岳3 森を抜けると秋田岩手県境にまたがる奥羽山脈の稜線が見えてきました。

薬師岳和賀岳4 眼前に迫る薬師岳。山頂部は森林限界で灌木が広がってるようだ。

薬師岳和賀岳5 登って来た方角を振り返って。結構登ってきたなぁ。

薬師岳和賀岳6 ウスユキソウ。エーデルワイスの仲間です。

薬師岳和賀岳7 薬師岳山頂から望んだ和賀岳はまだまだ遥か遠く。

緑の草原・紫の草原の薬師岳~小杉山

薬師岳山頂からは、広大な和賀山塊を思いのままに見渡す事が出来ました。『日本最後の秘境』というから険しい峰々が連なっているんだろうと思っていたけど、ここから望んだ和賀山塊はどれもたおやかで険しい風には見えません。

薬師岳から和賀岳まで続く稜線上の起伏はゆったりとしていて一面青々とした草原に包まれています。あまりに明瞭とした草原だからまるでゴルフ場のコースみたい。そしてこの草原へ足を踏み入れると高山植物が咲き乱れる広大なお花畑でした。特に目立つのが紫色の釣鐘形をした花のハクサンシャジンで、草原の全てを紫色に染めた光景は壮観です。

お花畑と草原に包まれた緩やかな起伏の稜線歩きの一時は楽しくて時間の経過を忘れてしまい、ふと我に返ると次なるピークの小杉山の登りにさしかかっていました。

薬師岳和賀岳8 薬師岳から先はたおやかなお花畑の草原が広がる心地良い尾根歩き。

薬師岳和賀岳9 草原に咲くクルマユリ。鮮やかな赤色だから草原で一番目立つ存在です。

薬師岳和賀岳10 今回一番多く見かけたハクサンシャジン。草原を紫に染める光景は圧巻の一言。

薬師岳和賀岳11 トウゲブキ。黄色のキクの花が愛らしい素敵な存在。

薬師岳和賀岳12 薬師岳から遠くに見える小鷲倉までずっと草原の尾根。

薬師岳和賀岳13 小鷲倉の勇姿。

薬師岳和賀岳14 薬師岳~小鷲倉の中間点にある小杉山から見た薬師岳。

和賀岳を間近に捉えて

小杉山山頂は灌木に包まれた少ピークで、ここから次なるピーク・小鷲倉への登りに差し掛かります。ちょうどこの辺りから登山道の踏み跡が薄くなって、次第にヤブ道へと変わります。

登山道をすっぽり包み込んだササや草薮やはびこる灌木を掻き分けて進むのは結構大変。稜線上にあって長年の風雪に耐えてきた藪だから手で払う程度ではなかなか開きません。あちこち身体を引っ掻かれながら進んでいくと藪を抜けて小鷲倉山頂へ到着しました。

やっと藪を抜けることが出来た・・・ここまで来ればあと残るピークは和賀岳のみ!といいたい所だけど、無風の中ずっと強烈な日差しに晒され続けていて暑さですっかりバテてしまいました。見た目は爽やかな草原なのにこんなに暑いなんて・・・。

和賀岳頂上は目と鼻の先。ここまで来て山頂に立たないのは勿体無い。とは思いつつももう体力ゼロだから無理は出来ません。う~ん、残念だけど僕はここにとどまって体力が有り余ってるS君一人に山頂を目指してもらうことにしよう。僕はまたいつか登ればいいんだから。

という事で僕は小鷲倉頂上までにして和賀岳は断念します。でも僕は十分満足だったのです。とりあえず念願の和賀山塊の稜線を歩けた事だし、美しい草原やお花畑と出会えたし、そしてもう一つ、和賀岳再チャレンジという再訪の口実も出来たし。

でも関東に住む人間からすると和賀山塊はそう簡単に行ける所ではありません。次またここを訪れるのは一体何時の事になるやら・・・。

薬師岳和賀岳15 小杉山まで来ると目の前に小鷲倉、そして奥に和賀岳の頂きを望めます。

薬師岳和賀岳20 小鷲倉の登りに差し掛かると登山道は踏み跡程度に薄くなり、やがて藪道へ。

薬師岳和賀岳16 藪を越えて小鷲倉山頂へ到着。

薬師岳和賀岳19 小鷲倉山頂から望んだ薬師岳。

薬師岳和賀岳17 小鷲倉から望んだ和賀岳。あそこまでたどり着く事が出来なかったけどまた何時の日か来ればいいや。

薬師岳和賀岳18 下山時、薬師岳から望んだ和賀岳(右)と小鷲倉(左)は湧きだした雲に包まれようとしていました。

薬師岳・和賀岳登山地図

登山に要した時間 / 8時間

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