北アルプス朝日岳&雪倉岳 ~秋・紅葉に包まれた青春の地【2】

北アルプス

登山した日-2010.10.06~08

ツラくてキツい斜面を登り切った先には錦色に染まった紅葉の世界が広がっていました。紅葉シーズンとなった朝日岳、雪倉岳登山日記第二弾です!

登山日記
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曇天の朝日岳

紅葉に見惚れていると後ろから中高年のご夫婦が追いついてきました。すれ違いざまに紅葉の素晴らしさを話しながら道を譲ります。そのご夫婦は写真を撮ったりして度々足を止めているのに、僕との距離は開く一方でいつしか視界から消えてしまいました。

コースの中間点の花園三角点(1754m)を越えると、高山帯らしい荒涼とした景色の中の登り。一服するタイミングがとり辛い登りの連続で、息も絶え絶え登り続けるとガスに包まれ、とたんに凍えそうな寒さに襲われます。防寒着を羽織ってしばらく進むとまた日差しが出て暑さのあまり防寒着を脱ぐ。冬と春が交互に来る中をひたすら登っていきます。

朝日岳と長栂山の主稜線にある『吹上のコル』へ到着すれば朝日岳最後の登り。ジグザグのザレ場を越えて、ハイマツ広がる丘の上まで来ると勾配も緩やかになって朝日岳の山頂へ立ちました。展望がいいから長居したいけど天気は曇ってるし、寒いから滞在は程々にして朝日小屋を目指しました。

山頂を離れるとひたすら下りで、少しして木々の間に朝日小屋の赤い三角屋根が見えて来ました。水平歩道との分岐点まで下って、草原の緩やかな斜面を登り切って朝日小屋へたどり着いたのは夕方前。この日テント場は単独の男性と女性がそれぞれ一組と、僕の計3張りだけ。テントを張り終えて一息ついた頃には夕焼けが始まり、赤とオレンジのグラデーションに染まった空を眺めながらラジオを聴いてると

『天気概況です。明日からゆっくりと下り坂になり明後日は荒れた天気になるでしょう。それでは各県の予報です・・・・・』

えっ天気は下り坂なの?しかも明後日は大荒れだなんて!あと2日かけて縦走しようと計画してたのに・・・天気が荒れるとなればこのまま登山するのはキツそう。しょうがないから明日は今日来た道を戻ろうか?それとも小屋泊に切り替えてでも予定通り白馬まで行こうか・・・

色々思案して出た答えは、『明日は雪倉岳まで行きその先の鉱山道を利用して蓮華温泉へ下山する。』

このコースは歩く距離が長くて険しいけどチャレンジです。

花園三角点から見上げた朝日岳。ここでコースの半分を歩いた感じです。まだまだ道のりは遠く・・・。
赤や黄色に染まった花園三角点。
紅葉に染まった五輪の森。すごい紅葉だな!こんなの初めて見た!
五輪の森から赤男山、雪倉岳方面をのぞみます。
高度を上げるにつれて天気は悪化。だからいまいち気分が盛り上がりません
吹上のコルへ到着。正面に見えるはずの朝日岳はガスの中で残念無念。
朝日岳山頂。展望はいいけど天気が悪いから景色はイマイチでこれまた残念。
今日の目的地、朝日小屋が見えてきました。蓮華温泉から長かった・・・。
朝日小屋から見た朝日岳。

雪倉岳への道

翌朝5時30分。ほかの宿泊者に先駆けて朝日小屋を後にして、朝日岳の山腹を巻く『水平道』を歩きます。

水平道は『水平』とは名ばかりでアップダウンの連続。針葉樹の薄暗い森の中をずっと歩くかと思えば、草原があったり池塘があったりと景色が目まぐるしく変化する中をひたすら進んで行くと、眼前に小さく見えていた雪倉岳は視界に大きく迫ってきました。

1時間半ほどかけて水平歩道を踏破すると、雪倉岳の取り付き点となる小さな広場へ到着。ここでちょっと息を整えてると後方から一組の登山者が追いついてきました。昨日花園三角点手前で出会った中高年のご夫婦です。一糸乱れない足取りで僕を追い越すとあっという間に距離が広がってやがて姿が見えなくなりました。

岩だらけの殺風景なガレ場が続く雪倉岳の登り。しばらく進むとスプーンでえぐったような山肌が目の前に広がりました。雪倉岳カール末端です。

この雪倉カールの淵を登っていくと雪倉岳はもう眼前。とはいってもあと30分の距離はありそう。ジグザグ状に続く登山道を息を切らしてたどり着いた雪倉岳の頂きには朝日岳や五輪尾根、蓮華温泉の大パノラマを思いのまま見渡す事が出来、中でも一際高くそびえ立つ白馬岳は一際目を引く存在でした。

翌日。白み始めた空の向こうに白馬岳、旭岳、雪倉岳が望めました。
水平道を歩く。向こうには雪倉岳と白馬岳。
赤男山の崩壊斜面を越えて。
雪倉カールへ到着。カールには雪はもう殆ど残っていませんでした。
間近に迫る雪倉岳。一見なだらかそうだけどけっこうキツイ登り。
雪倉岳山頂へ立ったけど雲が湧いてきて展望はイマイチ。
雪倉岳から望む白馬岳、旭岳。

鉱山道へ突入

雪倉岳山頂へ立った頃、ずっと快晴だった空に雲が湧き出し雪倉岳の山頂直下に建つ避難小屋へ着いた頃には、灰色の雲が空の大半を支配するようになりました。いよいよ天気が下り坂になってきたぞ、これは急がなきゃ!と、心にムチ打ってもここまでの行程で疲れ果てていた僕の身体は思うように動きませんでした。

避難小屋から先の道は鉢ヶ岳を巻いていき、鉢ヶ岳を巻き終わると白いザレ場の登り坂になります。鉱山道への分岐点はその途中にありました。時計を見れば13時前。コースタイムではここから蓮華温泉まであと4時間、これじゃあ日暮れギリギリに到着です。

鉱山道へ足を踏み込むと白い砂礫とハイマツだけが広がる下り道。その砂礫が赤茶けた色になると急勾配になって、一気に高度を下げていきます。

ズリ石が残る『塩谷精錬所跡』を過ぎ、沢や断崖をいくつかトラバースすると鉱山道中間点の『神ノ田圃』にたどり着きます。ふと目に入った標識を見ると熊にかじられてボロボロ・・・。それを見た瞬間なんだか心細くなってきました。辺りを見渡して見えるのは深い藪と険しい谷筋と鉛色の空。そしてこの鉱山道を歩いているのは僕一人だけ・・・・だんだん今いる場所が薄気味悪く感じてきて一刻も早くこの鉱山道を抜け出したい気分になってきました。

歩き続けて谷筋から離れると登山道は沢状の道になり、やがてジグザグの急な下り道になります。そして沢の音が響いて来る頃沢岸に降り立ちました。沢に架かる手組の吊り橋を渡って対岸へ出ると、急な登り返しになって苦しみながら登り切って『蓮華の森遊歩道』へたどり着きます。

時刻は17時を過ぎていて日が落ちた森の中はもう闇。ヘッドランプを点けて足を引き摺りながら歩き続けます。あと1時間で蓮華温泉、もうゴールはすぐなんだガンバレ・・・。

ヘロヘロの千鳥足で蓮華温泉ロッジへたどり着いたのは18時過ぎ。真っ暗な闇の中に煌々と光る電灯と温泉に浸かる賑やかな人の声を聞いたとき、人ッ気のある場所にやっと降りられた安堵感と疲労感が一杯でしばらく立ち上がれませんでした。

鉱山道分岐点から望む鉢ヶ岳(左)と右奥に雪倉岳(右)。空模様がどんどん怪しくなります。
雨が降りそうな空模様。
ガスの中にぼんやり浮かぶ紅葉。
塩谷精錬所跡。ここにはズリ石が残るだけです。
小蓮華山の蓮華菱の絶壁。

朝日岳・雪倉岳登山地図

※この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分の1地形図を使用しました。(承認番号 平22業使、第609号)

データ

●登山に要した時間 / 一日目11時間+二日目13時間 合計24時間

朝日岳・雪倉岳写真ギャラリー

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