北アルプス・爺ヶ岳&針ノ木岳~後立山秋色縦走記【中編】

北アルプス

登山した日-2008.10.03~05

登山日記
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爺ヶ岳の荘厳な朝

翌朝3時、耐え難い尿意で目が覚めました。トイレ行きたいけど寒くて外へ出たくない・・・なかなか寝袋から出られず、でも尿意には敵わず勇気を振り絞って外へ出たら満点の星空が広がっていました。

種池山荘まで行って用を足し終わると尿意も消えてほっと一息。テラスにあったベンチに腰をかけて白み始めた空を眺めると、暗闇の向こうに爺ヶ岳の黒いシルエットが見えて目を凝らしていたら小屋から出てきた登山者が声を掛けてきます。

『朝早いですね。これから爺ヶ岳へご来光を見に行くの?』

爺ヶ岳は昨日登ったし、今日は長丁場だから爺ヶ岳へわざわざ寄り道してご来光を見る事は全然考えてませんでした。でも今まさに夜が開けようとしているこの絶好のタイミングで、ご来光を見ない手はありません。行こう!ご来光を見に行こう!思い立ったら急げです!

爺ヶ岳に取り付くと急斜面のジグザグ道を登っていきます。ヘッドランプを付けないと見えなかった足元も、やがて白み始めた空の明るさで照らさなくても良くなった頃に爺ヶ岳山頂へ到着しました。

冷たい風が吹き抜ける山頂には鉛色の雲海と日の出前の赤く染まった空が広がっています。日の出まであとどの位の時間か判らないけど、もうじきなんだと寒さに震えながらその時を待ち続けました。

水平線の彼方が一瞬パッと眩しく輝くと一気に北アルプスの山々が紅く照らされ、同時に僕の身体も紅く色付いたご来光のこの瞬間、この光景、何度見てもスバラシイ!ここまで来た甲斐がありました。

ご来光の荘厳なひとときが終わって太陽が高く昇ると、これから目指す鳴沢岳や針ノ木岳の長大な刃の稜線がはっきりと目に入ってきました。今日の登山は長くて辛そうだけど、さあ行こうか。あの稜線の真っ只中へ!

白み始めた空の下、ご来光を見ようと爺ヶ岳へ急いで登ります。
爺ヶ岳山頂から見たご来光!やっぱ山っていいですねって思える瞬間!遠くには噴煙上げる浅間山が見えます!
ほのかに紅く染まった鹿島槍ヶ岳。
紅葉の山肌も一層紅く染まります。
立山・劔連峰も暗闇の世界から明るい世界へ。

岩小屋沢岳の縦走路を行く!

テント場へ戻ると他の登山者のテントはもう無くてスッカラカン。僕も身支度を整えて午前7時に種池山荘を後にします。

潅木に覆われた緩やかなアップダウンが続く尾根道を進むと、展望が開けて立山・劔岳の雄大な山並みを間近に捉えながらの登り坂で岩小屋沢岳への登りに差し掛かったようです。

ハイマツが生い茂る中キツイ斜面を登り切ると、岩小屋沢岳(2630m)山頂に立ちます。山頂からは立山・劔はもちろん黒部の深い谷筋も望める綺麗な景色が広がっているけど、僕はこの時キレイだなあと素直に喜べなくなっていたのです。

というのも、目指す針ノ木岳は遥か先。とても今日中に針ノ木岳を踏破して扇沢まで下山出来そうにありません。だから今日の目的地を針ノ木岳直下にある針ノ木小屋にして明日扇沢へ下山することに予定を変更します。

これで今日の行程はいくらか短く楽になったけど、僕の苦悩はここから始まります。

遠ざかって行く種池山荘と爺ヶ岳・・・。さようならまたいつか来るよ!
種池山荘を後にすると最初に登る岩小屋沢岳が右側に見えてきました。その奥に針ノ木岳が見えるけど遥か彼方。
錦色に染まった山肌。
青空とナナカマド。
黒部の谷を挟んだ向こうに雄大にそびえる立山。
剱岳は何処から見ても険しすぎる。
岩小屋沢岳の登り途中で振り返ると爺ヶ岳(右)と鹿島槍ヶ岳(左)が望めました。
岩小屋沢岳山頂へ到着。

北アルプスの険しさと厳しさ

岩小屋沢岳山頂を過ぎると急な下り坂で、鞍部へ降り立つと新越山荘という小さな小屋に着きました。小屋は冬支度で固く閉ざされていたから、小屋前の広場で一休憩をするとポカポカ陽気に誘われて5分か10分ウトウト・・・ほんのちょっとだけ体力を回復させて再び重いザックを背負って前進します。

次に僕の行く手を阻んだのは鳴沢岳(2641m)で、新越山荘からの標高差約200mの登り返しを汗をかきかき登り切って鳴沢岳の山頂へ立つと、今度は赤沢岳(2678m)のピークが行く手を阻みます。そして赤沢岳のさらに向こう側にはスバリ岳(2752m)と針ノ木岳(2821m)が待ち構えているのが見えます。

この先続く登山道にも、振り返って歩いて来た登山道の何処を見渡しても人の姿は見えません。つまり今この長大な稜線上を僕一人が歩いているのです。

北アルプスの大絶景を一人占めしている満足感と、一人ポツンと稜線に取り残されている寂寞感が入り交じった複雑な気持のまま、赤沢岳へ取り付くと疲労に加えて疼きだした足の痛みとも闘わなくちゃいけなくて、歩くペースはどんどん低下。

やっとの事で赤沢岳の山頂へ立つと、眼下に黒部湖の緑がかった湖面が広がりを見せるも感動する気力はもうありませんでした。

赤沢岳を過ぎるといよいよ今日の核心・スバリ岳、針ノ木岳へ踏み込んで行きます。

岩小屋沢岳を越えると、鞍部に建つ新越山荘が見えてきました。
鳴沢岳~岩小屋沢岳間に建つ新越山荘は固く閉まって誰も居ません。ここでちょっと休憩しよう。
新越山荘周りの斜面に広がるハイマツとダケカンバの森。
新越山荘前の広場から見た針ノ木岳(真ん中の一番高い所)。その少し右のギザギザした所がスバリ岳。
鳴沢岳山頂。
鳴沢岳より望む赤沢岳(右)と針ノ木岳(左奥)。
立山・劔連峰の山並を眺めながらの苦しい登りがひたすら続きます。

爺ヶ岳&針ノ木岳写真ギャラリー

※クリックすると拡大します。

爺ヶ岳&針ノ木岳登山地図

※この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分の1地形図を使用しました。(承認番号 平22業使、第609号)

データ

登山に要した時間 / 一日目5時間+二日目13時間+三日目3時間 合計21時間

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