谷川連峰・秋色の国境稜線縦走記【後編】

谷川連峰/赤城/武尊

万太郎山の巨大な山懐へ取り付いてみると険しくて登るのが大変。最後の力を振り絞って山頂に立った時素晴らしい展望が広がっていました。

登山した日-2012.10.20

登山日記
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ササ原の稜線漫歩

オジカ沢の頭を後にして急斜面を駆け下り、鞍部に降り立つとしばらくの間緩やかな稜線歩き。辺り一面は見事なササ原でまるでゴルフ場の芝生みたいだから見通しも良くて楽しい気分で歩けます。

緩やかなアップダウンを繰り返しながら小障子ノ頭のピークを踏み越えて、鞍部に立つ『大障子避難小屋』へ到着しました。

この時点で時刻は午前11時30分。ここから土樽まで地図上のコースタイムは残り5時間30分。土樽発の最終電車18:11発の事を考えたら時間に余裕が無いのでここでの休憩はサッと済ませて前進を続けます。

オジカ沢の頭山頂直下に建つ避難小屋
一面のササ原とオジカ沢の頭
小ピーク小障子の頭へ到着。向こうには万太郎山が
一面のササ原の向こうに大障子避難小屋が見えてそのバックに万太郎山。
大障子避難小屋と大障子ノ頭
ササと草原が見せる不思議な光景。

万太郎山最後の登りへ

大障子ノ頭のピークを越えるとその先は岩場で、むき出しの岩を滑落しないように下ると緩やかな鞍部に立って、目の前に万太郎山が立ちはだかりました。

遠目ではなだらかに見えた万太郎山も間近に仰ぐとあまりにも大きな障壁だからちょっと臆してしまいます。もう体力がゼロがゼロに近い僕にとってこの登りはハードルが高すぎます・・・。

万太郎山へ取り付いて見るとあまりの急勾配で苦しくて何度も足が停止。ここで万太郎山を見上げた時、山頂付近に人影があるのが見えました。久しぶりに見る登山者だと初めは思っていたけれど、しばらく時間が過ぎてもその登山者は一向に動こうとしません。

時刻はお昼を過ぎようとしていて、土樽へ降りるにしても、谷川方面に向かうとしても万太郎山ではゆっくり出来ないはず。

もしかしてあれは人じゃ無くて何かの標識かもしれない・・・。疲労で思考能力の低下した僕は幻覚を見ているのかもしれません。

万太郎山最後の登り。
振り返ると先ほど越えた大障子ノ頭が尖頂となってそびえていました。
キツイ登りだからなかなか山頂が近づいてくれない・・・。
万太郎山上部から眺めた谷川連峰。

万太郎山のてっぺんで見た景色

広がって来たハイマツを掻き分けながら、力を振り絞って斜面を登り切って万太郎山山頂分岐へ辿り着くと、年季の入った黄色いジャケットを羽織った一人の男性がラジオを聴きながら休んでいました。もう時刻は午後をまわっているのに特に慌てる様子も無くゆったり景色を堪能しています。

話をしてみると、今日は大障子避難小屋で泊まるとの事。

大障子小屋はちょっと前に僕が休憩をした所で、そこに泊まるならここでゆっくりしていても何の問題もありません。その男性は一人大障子避難小屋で酒を飲みながら星空を見るんだと言って恥ずかしそうに話してくれました。

避難小屋を一人で泊まるなんて小心者の僕には怖くて出来ないけれど、

『国境稜線のど真っ只中で』
『星空を見ながら』
『酒を飲む』

そんなシチュエーションをこれから楽しむこの男性を少し羨ましく思いました。

万太郎山山頂は分岐点の目と鼻の先にありました。山頂に立ったそこには国境稜線の大パノラマが延々と広がっていたのです。

万太郎山山頂から見た仙ノ倉山。その後ろに平標山が見える大展望!

地獄の吾策新道

万太郎山の大展望に浸り続けたい・・・でも時間に余裕が無いからすぐに山頂を去って分岐まで戻り、万太郎山北側に伸びる吾策新道へ足を踏み入れます。

吾策新道を上から見下ろした瞬間、僕は絶句してしまいました。

登山道はここから圧倒的な落差で切れ落ち、それが延々と続いていたからです。こんな急な所を今から下らなきゃならないの?

ここまでの歩きで体力は限界だし足が痛くてたまらないのに・・・でも弱音を吐いた所でどうにもならないので下るしかありません。

吾策新道へ足を踏み入れた途端強烈な下り道になって、手で岩を掴みながら岩場を降りるような道の連続。ここを過ぎると今度はぬかるんだ急斜面。数日前に登山道整備でこの付近を刈払したらしくて、道には刈ったばかりのササの枝葉が落ちていました。

このササの枝葉がクセモノで、不用意に足を置くとツルリと転倒してしまいます。でも道の至る所狩り払われたササで埋もれているから踏まずにはおれません。足の重心を置き間違えて何度も転倒して、その度に体中が痛めつけられて身も心も疲れ果てました。

かなり下った所で『井戸小屋沢ノ頭』の小ピークがあったのでちょっと休みながら痛くてたまらない足裏や太ももをマッサージし続けて、食べ物と水を口にすると幾分楽になるけれど、歩くスピードを早めるまでには至りませんでした。

万太郎山山頂から谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳。
万太郎山から見下ろした万太郎尾根。この尾根上に吾策新道が走っていて、上に見える集落の土樽まで伸びています。
井戸小屋沢ノ頭の小ピークが見えてきました。疲れたからちょっとここで休もう。

土樽駅へ

『井戸小屋沢ノ頭』の先も歩きにくい場所の連続で、ザレた斜面をロープ伝いに渡ったりしながら下っていくとブナの森が広がってきました。ここまで降りると比較的緩やかな尾根道になったので少し楽になります。

ブナ林は紅葉がキレイで午後の傾き始めた日差しを受けて黄金色に輝きます。ふと振り返って見た国境稜線の向こうに谷川岳がブナの葉と同じように午後の日差しで黄色く輝いていました。

登山道はやがて万太郎尾根を外れて斜面を下るようになると再び勾配がキツくなり、地面がツルツルの粘土質っぽくなるのでここでも何度も滑って転倒していまします。

ブナ林を抜けて荒れたスギの人工林まで来た頃、眼下で護岸工事をする音が聞こえて間もなく林道へ降り立ちました。時折工事関係の車両が通る以外は何もない林道を歩いていくと関越自動車道の巨大なコンクリートの建造物が見えて来て、ここをくぐり土樽駅へ続く路地をひたすら歩きつづけました。

土樽駅へたどり着いたのは16:50。

最終電車には余裕で間に合ったけれど、土樽駅の周辺には暇をつぶすものが一切無いから、これから電車が来るまでの1時間30分をどう過ごそうかと考えるのも結構苦痛。
仕方ないから駅舎の椅子に座って少しウトウトしてふと目が覚めた時、辺りはすっかり暗くなっていました。(終)

吾策新道から見上げる万太郎山。
黄金色に輝くブナ林。
美味しそうなキノコ発見!しかしこれはツキヨタケと呼ばれる毒キノコ。
どこまでもブナの森。
吾策新道を下り終えて土樽PA付近から見上げた万太郎山は遥か彼方。
夕方6時。土樽駅はすっかり日が暮れてしまいました。

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谷川連峰登山地図

※この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分の1地形図を使用しました。(承認番号 平22業使、第609号)

データ

登山に要した時間/約11時間
土合駅出発6:00→ラクダのコブ8:00→谷川岳トマの耳9:00→オジカ沢ノ頭10:30→万太郎山12:45→吾策新道登山口→15:50→土樽駅16:50

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