法皇山脈・西赤石山~ツガザクラとアケボノツツジの山旅

四国の山

愛媛県新居浜市・法皇山脈の一角にそびえる西赤石山(1626m)は、かつて日本最大規模の銅産出を誇った別子銅山があった山で今でも当時の遺構が残る歴史感溢れる山ですが、アケボノツツジやツガザクラなどの珍しい花も見られる自然豊かな山でもあります。今回は東平登山口から銅山越経由で西赤石山に挑みます!

登山した日-2005.5.16

法皇山脈の花の山、西赤石山へ

四国の動脈・国道11号線を四国中央市から新居浜市に向けて走っていると、左手に北アルプスのような高く険しい山並みが続いているのが見えて思わずテンションが上がります。その険しい山の正体は法皇山脈という四国屈指の険しさを持つ山塊で、一角に西赤石山(1625m)という山がそびえています。

西赤石山を僕が初めて知ったのは・・・・たしか中学生の頃に使っていた何かの教科書の表紙が西赤石山だったはず。学校で新しく手渡された教科書の表紙に白い釣鐘の形をした謎の花がプリントされていて、裏側をめくってみると「西赤石山のツガザクラ」と説明書きがありました。

へぇ~愛媛にもこんな所があるんだ。山に興味が無かった当時の僕はそれぐらいしか感じなかったと思うけど、白い釣鐘をした謎の花が『西赤石山』にある事はずっと忘れませんでした。それから月日が経った2005年の5月、丁度愛媛に戻っていたので登って見ることにしてみます。教科書の表紙にあったツガザクラの写真を実際にこの目で見たいと思って。

東平の銅山の里自然の家へ

5月16日の早朝。

車で東平登山口のある新居浜市の『銅山の里自然の家』まで向かいます。道に迷う事も無くてペースは順調。ところがあと残り約4キロというところで道路は通行止め。あちゃ~工事中じゃあないか。しょうがない、ここから登山口まで歩くことにしよう。怪訝そうにこちらを見ている工事のおじさんに声をかけてこれから西赤石山まで行くんですというと、

「おぅ兄ちゃん、がんばれよ!」

とガッツポーズで励ましのエールをもらって片道約4キロの林道を歩きます。知らない人とのこんな何気ないやりとりも登山の醍醐味の一つ。いや~気分いいね!

歩きはじめて1時間程で銅山の里自然の家へ到着。立派な施設だけど道路が通行止めだからか営業して無いようで人気は無りません。少し歩くと古いレンガ造りの建物や坑道の跡が見えてきました。

かつて繁栄した別子銅山の遺坑です。その遺坑を横目で見ながら登山口の看板を見つけて登山道に入ります。 季節は新緑真っ盛りで、登山道を覆う森は新緑で黄緑色に染まっていてキレイ。序盤はアカマツやスギヒノキの人工林が続いて、高度を上げるに連れて新緑みずみずしい広葉樹の森へと変化していきます。

西赤石山1 朝から雲ひとつ無い空が広がる四国の山々。向こうに見える山は沓掛山(1691m)。

西赤石山2 銅山の里自然の家周辺に点在する別子銅山の遺構。

西赤石山3 登山口手前にあった別子銅山の坑道。

西赤石山4 新緑のシャワーを浴びながら前進。

西赤石山5 標高1000mを越えると景色が変化。ツツジや灌木が広がる明るい景色が広がってきました。

念願のツガザクラ

登り始めて小一時間ほどで斜面を登り切ると、風景が一変して荒涼とした尾根に出ました。

ここは銅山越えという標高1200mほどの鞍部。背の低い縮れた木が荒涼とした砂礫地に繁茂する風景はとても標高1200mとは思えなくて、まるで高山地帯のよう。

え~とたしかツガザクラはこの辺に生えてるんだよなと、事前に調べた情報を思い出しながら辺りをくまなく歩いてみると・・・あったあった白い釣り鐘の花が。しかも想像以上に一面咲いています。

北アルプスの3000mの稜線を歩いた時に何度もこのツガザクラを見て来たけど、南国四国のこんな標高の低いところにあるなんて信じられません。いや~大満足。もうお腹いっぱい。目当ての花を見たしあとは山頂へ行くだけだな。この時点でツガザクラを見るという目標を達成して満足感一杯になっていた僕だったけど、西赤石山の花々との出会いはこれだけでは終わりませんでした。

西赤石山6 銅山越へやってきました。潅木とツツジが広がる荒涼とした場所です。

西赤石山7 銅山越の山々。砂礫や灌木が広がっていてその間に高山植物が生えています。

西赤石山8 新緑とツツジの花に染まった銅山越の山肌。

西赤石山9 銅山越に咲くシコクハタザオ。

西赤石山10 アカモノも咲いています。

西赤石山11 銅山越のツガザクラ。

ツツジのトンネルを歩く

銅山越えから西赤石山へ向かう道は尾根沿いの快適な登りで、新緑の中に紅色がポツポツ点在している光景が広がっています。

その紅色は銅山越えにたどり着く前からちらほら目に付いていたけど、ツガザクラの事しか頭になかったので特に気にはしていませんでした。でも前進するに連れて紅色の数が多くなってきたので、とうとう気にせずにはいられなくなってきます。

ちなみにこの紅色の正体はミツバツツジの花で、鮮やかな紅色ものもあれば、紫がかったのものまで、色の種類がいくつかあります。時折はっと覚醒しそうなほどの鮮やかなツツジのトンネルを幾つかくぐると、西赤石山山頂のそばまで来ていました。

間近で見上げる山頂はこんもりと岩が突出したような感じで、その周りをさっき見たミツバツツジとは違う、蝶のような形の花をしたピンク色のアケボノツツジが覆っていました。その最後の岩をよじ登ると眼前に三角点が見えてえ西赤石山の頂上に到着! 山頂には中高年の男性が一人居るだけでした。

西赤石山12 満開のミツバツツジは間近で見ると圧巻です。

西赤石山13 黄色のツツジはヒカゲツツジ。

西赤石山14 紅色のツルギミツバツツジ。

西赤石山15 ツルギミツバツツジと石鎚連峰東端にそびえる平家平(1693m)。

西赤石山16 ピンク色の花をつけるアケボノツツジ。今回一番目立ったツツジです。

西赤石山17 アケボノツツジ満開!沢山の蝶々が枝に止まってるように見えます。

西赤石山18 石鎚連峰を遠望。

西赤石山19 西赤石山が近づいてきました。

瀬戸内海を見下ろす壮大な絶景

雲ひとつ無い青空の下、眼下には青々とした瀬戸内海が広がっていて、その中を島々がちりばれられたように点在しています。海岸沿いからグンと一気にせりあがった絶頂から見下ろす景色は、高度感バツグンで思い切り絶叫したいくらい感激モノです。

好天に恵まれた中、四国の山並みを一望出来て、念願のツガザクラに出会えて、そして壮大な瀬戸内海の光景に出会えて・・・これぞ極上の登山。

下山後、帰路に着きながら今回の登山を回想してみると、頭の中を支配したのは四国の山並みでも無く、念願だったツガザクラでも無く、壮大な瀬戸内海の景色でも無く、紅や桃色に染まったツツジの花々ばかりでした。ツガザクラに出会うつもりでいたのに、まさかあんな満開の鮮やかなツツジたちと遭遇するとは夢にも思ってもいなかったというサプライズのために頭の中が完全にツツジたちに支配されてしまったみたいです。

西赤石山20 西赤石山山頂。

西赤石山21 西赤石山山頂から東赤石山(1707m)方面を眺めます。

西赤石山22 山頂から銅山の里自然の家の建物を見下ろして。あそこから登ってきたんたなぁ。

西赤石山23 山頂から北側の景色は眼下に新居浜市街の街並みとアケボノツツジに彩られた山肌が広がる高度感満点の景色。

西赤石山24 右端が新居浜市、中央左端が西条市、左上が今治市です。

西赤石山25 来島海峡大橋も遠望できました。

西赤石山26 石鎚連山を遠望。中央が瓶ヶ森(1897m)、右奥に石鎚山(1982m)が見えます。

西赤石山27 アケボノツツジに包まれた山肌。

西赤石山28 ツツジと共に素晴らしいひとときを過ごせた極上の登山でした。またいつかこの時期に登りたいな。

西赤石山写真ギャラリー

※クリックすると拡大します。

西赤石山登山地図

登山に要した時間 / 9時間

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