水晶山&雁坂嶺~静寂の黒岩尾根紅葉編【前編】

水晶山&雁坂嶺~静寂の黒岩尾根紅葉編【前編】
2014年11月8日

雁坂嶺(2289m)と水晶山(2158m)を埼玉県側の出会いの丘から豆焼橋を渡って黒岩尾根を経て登山。週末紅葉シーズンにもかかわらず人に殆ど出会うこともな無く豊かな森を堪能しました。

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登山した日-2014.10.4

登山起点の豆焼橋から黒岩尾根へ

午前6時、埼玉県秩父市国道140号線のパーキングエリア『出会いの丘』へ到着しました。今日の天気予報は曇り時々晴れだけど雨が降っていて生憎の空模様。だから辺りに広がる奥秩父の山々はガスに包まれて水墨画のような景色です。

折角早起きしてここまで来たのに天気に見放されてテンション低下。でもこれから初めての山域へ踏み込む期待感もあるからこの程度の雨は大したことじゃありません!

出会いの丘から豆焼橋の赤い鉄橋を渡って『奥秩父トンネル』入り口脇の細い林道を進んでいくと、『東京大学演習林』の看板があったので辺りを見渡してみると深い森が広がっていて、木々はほんのり色付いている程度。10月に入ったとは言えこの辺りは紅葉はまだまだ。

でも枝に纏わり付いたヤマブドウの葉だけがワイン色に色づいて霧の中にぼんやり紅く輝いていました。

林道を30分程歩くと行き止まりになってその先に登山口がありました。ここからが登山本番!早速黒岩尾根へ登っていきます。

水晶山&雁坂嶺1 奥秩父トンネル入り口左脇に林道が伸びていてその先が登山道。マイカーを利用する場合は近くのパーキングエリア『出会いの丘』に車を停めると便利。

水晶山&雁坂嶺2 林道入口のゲートをくぐってしばらくは砂利道の林道で、辺りは東京大学の演習林が広がっています。

水晶山&雁坂嶺3 30分ほど林道を歩くと行き止まりで、その先が登山道入り口。

陰鬱な森

登山道へ入ると一気に濃密な森に覆われ、今まで聞こえていた国道140号線を走る車やトラックの音は聞こえなくなって静寂の世界が訪れます。でも耳を済ますとどこからかゴウゴウと音が響いていて、きっと遥か下を流れる滝川の音かもしれません。

それと木々からポタポタしたたり落ちる雫の音だけ。

ガスが立ち込める薄暗い森の中でそれらの音を聞いてると少し薄気味悪く感じます。僕の心の中に『薄気味悪いから引き返して天気の良い日に登り直そうか?』なんてちょっと怖気づいたりするけど。。。まあ冷静に考えてみればお化けが出て来て命を取られるわけじゃないんだから、怖いのをガマンして前進します。時間が経てばガスも晴れてお日様も出て明るくなるに違いありません!

登り始めの登山道は、黒岩尾根の斜面をトラバースするように続いています。谷側は深く切れ落ち、足を滑らせて落ちたら遥か下に転がり落ちるほどの急斜面で、しかも地面は濡れた落ち葉が積もってるから滑りやすくて油断をしてると命はありません。だから一歩一歩足元を確かめるように登ります。

水晶山&雁坂嶺4 登山道の外れにクマの罠が置いてあったけど、最近は使われて無い様子。もちろん中には何もありませんでした。

水晶山&雁坂嶺5 ガスに包まれた薄暗い森を進んでいきます。人の気配が全然無いからちょっと気味悪い。

水晶山&雁坂嶺6 目的地まではまだまだ先。

水晶山&雁坂嶺7 森に漂うガスは濃くなったり薄くなったりを繰り返し。

黒岩尾根のあせみ峠へ

周りに広がる森は奥秩父の山々で見て来た森の中でも上位に入るくらい綺麗で、イヌブナやクマシデやカエデなど木々の種類も多く立派な樹形をした木が多いので見応えがあります。そうした森がガスに煙るとなかなか幻想的で、さっきまで抱いていた薄気味悪い印象も少し和らいできました。

森が豊かって事はツキノワグマも沢山居そう・・・。林道から登山道へ入った時にツキノワグマ用のワナが置いてあったから普通に棲息しているんでしょう。

ツキノワクマに会うのは怖いけど、この森はツキノワグマの棲家であって、僕達人間は勝手に他人の家に入り込んだいわば招かねざる客。ツキノワグマにばったり出会って怒らせないように、眼を凝らし耳を澄ませながら歩いていくのでした。

やがてジグザグのキツい登りに差し掛かりってここを越えると『あせみ峠』に辿り着きました。倒木でこしらえた椅子がいくつか置いてある絶好の休憩ポイントで『あせみ峠』の”あせみ”とは樹木のアセビの事で、周辺にアセビが多く生えているから名付けられたようです。

あせみ峠を過ぎると平坦な道が続くので歩くのがすごい楽。だから登山が楽しいし何よりもガスが薄れて明るくなってきたのでテンションが上ってきました。

水晶山&雁坂嶺8 『あせみ峠』へ到着。ここでちょっと一息入れよう。

水晶山&雁坂嶺9 曲がっても今は空に向かって伸びてる。

水晶山&雁坂嶺10 登山道の一風景。

水晶山&雁坂嶺11 黄色く色づいたダケカンバ。

水晶山&雁坂嶺12 秋と言えばキノコ。このキノコはなんていう名前なんだろうそして食べられるのかな?

水晶山&雁坂嶺13 標高約1800m、黒岩尾根を半分以上登ると辺りの森はコメツガ・シラビソの針葉樹へと森は変化。

黒岩尾根唯一の展望地、黒岩

順調に登り続けて標高1800m付近まで来ると薄暗い針葉樹の森に変わって、しばらく歩き続けると『黒岩展望台』の看板を発見したのでちょっと寄って見ようと、看板が差し示す方向を見ると藪めいた急斜面だったので、思わず行くのをためらいました。

でもコース唯一の展望地だし、ここまで歩いて碌に展望を拝めていなかったから行ってみよう!

滑り落ちないように枝を掴みながら急斜面を5分程登ると、小さな岩場に出てここが黒岩展望台でした。濃密な樹海の中に岩がぽっかり浮き出たような場所で、展望はとても良く、風雪に晒され小さくいじけたゴヨウマツやコメツツジがへばりつく岩の上に立つと雁坂峠の稜線や登って来た黒岩尾根を望むことが出来ました。でも雲が広がっていたからすべてを見渡すことはできません。

山肌のほとんどが針葉樹の濃い緑に覆われた雁坂や水晶岳の山並み。その中にカエデやダケカンバの黄色や赤の紅葉がポツリポツリあって色鮮やかに色づき綺麗な光景です。

水晶山&雁坂嶺14 黒岩から望む雁坂峠の光景は、雲が多くてはっきりと見渡せないけどようやくありつけた展望だから楽しめました。

水晶山&雁坂嶺15 黒岩から登って来た方向を振り返るとこんな感じ。

水晶山&雁坂嶺16 黒岩周辺はシラビソ・コメツガ、ゴヨウマツの針葉樹が多くて、紅葉する落葉樹の木々はちょっと少なめ。

水晶山&雁坂嶺17 それでも色づいた落葉樹の木々は鮮やかでした。

水晶山&雁坂嶺18 手前のピークが1944m峰、奥に見える尾根が雁坂峠。

雁坂小屋へ到着

黒岩展望台を後にすると再び急な登りで、暗い荒れた森の中を息を切らしながら登っていくと針葉樹の森がダケカンバの純林になり、地面をクマザサが覆って明るい雰囲気が漂ってきました。

ササ原広がるテント場が見えて来ると雁坂小屋へ到着。湧き水もあるし、椅子やテーブルもあるから一服するにはもってこいの場所だけど、登山客も小屋の管理人も誰も居ません。小屋は戸は開いていて中に入ることは出来ました。因みにこの雁坂小屋は土日やシーズン中は管理人が常駐していて、閑散期は無人小屋になっているみたいです。

それでも管理が行き届いているらしく小屋はキレイで居心地が良さそう。素朴な佇まいで昔ながらの山小屋って感じが凄くいいです。

ここまで来れば目的地の雁坂嶺や水晶山はあと一時間ほどの距離で、いよいよ核心部へと踏み込んで行きます。

水晶山&雁坂嶺19 1944m峰を越えるとササとダケカンバの明るい森が広がります。

水晶山&雁坂嶺20 雁坂小屋のテント場は開放感があっていい雰囲気。一回泊まってみたいな。

水晶山&雁坂嶺21 出会いの丘から登り始めておよそ4時間、雁坂小屋へ到着。

水晶山&雁坂嶺22 雁坂小屋の管理人さんは不在みたいで誰も居ませんでした。小屋は素朴な佇まいでこれぞ『山小屋』っていう感じで素敵ですね!

水晶山&雁坂嶺登山地図

【コースタイム】6:30出会いの丘→7:00林道終点→8:00あせみ峠→10;00黒岩展望台→10:40雁坂小屋→11:15水晶山→12:10雁坂峠→12:40雁坂嶺→13:10雁坂峠→16:00出会いの丘下山