【八ヶ岳】横岳&硫黄岳&赤岳~梅雨の晴れ間に(1)

八ヶ岳/蓼科周辺

長野県の野辺山高原に広がる海ノ口自然郷の別荘地から長い杣添尾根を登って横岳、硫黄岳、赤岳を縦走!6月の貴重な梅雨の晴れ間に八ヶ岳のてっぺんで絶景と高山植物と新緑に巡り会えた南八ヶ岳登山日記です。

※この記事は全3ページあります。

登山した日-2015.6.28-29

梅雨の晴れ間の八ヶ岳へ

『明日日曜日の長野県の天気予報は晴れ時々曇りでしょう。』

待ち望んでいた晴れが到来!ずっと天気が悪くて登山を控えていたから、この好機を逃すわけにはいきません。その間ずっと考えていた『1泊2日八ヶ岳登山』を決行します。今回の登山の目的はこの時期に咲く『高山植物チョウノスケソウ』。美しい花々に出会えるかなー?

で、今回歩くコースは

【1日目】海ノ口自然郷→杣添尾根→三叉峰→横岳→硫黄岳→赤岳鉱泉でテント
【2日目】赤岳鉱泉→行者小屋→文三郎尾根→赤岳→三叉峰→杣添尾根→海ノ口自然郷

と南八ヶ岳の核心を存分に歩きます。

当山当日。早朝3時に自宅を出て群馬長野県境の『ぶどう峠』を越え、長野県の野辺山高原入りした頃にはすっかり明るくなって、八ヶ岳の頂が澄んだ青空の向こうにクッキリと見えてきました。

北海道美瑛や富良野を思わせる爽やかな景色が広がる野辺山高原。パッチワーク模様に広がる畑のあちこちでレタスの植え付けや収穫で大勢の農家さんたちがせわしなく働いている光景を横目に道路を走り続けて『海ノ口自然郷』の別荘地に入り、迷路のように入り組んだ小道を迷わないように進んでいくと、杣添尾根の登山口駐車場が見えてきました。

駐車場はすでに先客の車が10台程停まっているものの人の気配はゼロ。みんな薄暗いうちから登り始めてるみたいですね。

久しぶりに荷物満載のザックを背負うとズッシリ重みが肩にのしかかり、何歩か歩いて重心が整ったら登山開始!時刻は午前6時40分を過ぎようしていました。

八ヶ岳夏1 南牧村の野辺山高原へ来ると八ヶ岳連峰が見えて来ました。

八ヶ岳夏2 青空をバックにそびえる八ヶ岳連峰。もうじきあの頂に立てるとおもうとテンションあがります。

八ヶ岳夏3 別荘地『海ノ口自然郷』の上部に登山口があります。車は10台くらいが停まれる程度でそれほど広くはありません。

八ヶ岳夏4 登山口。ここから杣添(そまぞえ)尾根を登ってまず横岳を目指します。

八ヶ岳夏5 南八ヶ岳林道から目指す横岳が望めました。写真左が杣添尾根。今からあの尾根を登っていくわけですね、これは辛そう。

八ヶ岳夏6 杣添尾根入り口。ここから長い尾根歩きがスタート。

杣添尾根へ挑む

初めは別荘地の中を登って行き、別荘地を過ぎると南八ヶ岳林道に出てこの辺りで目指す横岳と杣添(そまぞえ)尾根を望むことが出来ます。

ボリューム感いっぱいの横岳と長大な杣添尾根。実はこのコースは何度も歩いていて、ある程度どんな所か知っています。けれどぜんぶ日帰りで荷物は軽量で登ったものばかりだから、今回の重装備では果たして登れるかどうか・・・ちょっと不安だなぁ。

南八ヶ岳林道を少し歩くと東屋と小さな人工池のある公園跡みたいな所に辿り着き、傍に登山道入り口があってここから杣添尾根に取り付いていきます。

杣添尾根へ入ると鬱蒼とした針葉樹林の森の中。適度な木漏れ日と緩やかな勾配、そして傍を流れる沢音を聞いて心が踊り楽しいなあ!・・・って感じるのは最初の10分位だけ。

沢に架かる小さな橋を渡ると一転、急勾配のキツイ登りになり足取りが重くなり一気に汗が吹き出てきました。

ひたすら続くキツイ登り。登山道がえぐれて大きな段差があれば手足を使って踏ん張って越え、根っこがはびこる大きな段差があればまたまた手足を使って踏ん張って乗り越える。

こんな『修行』のような登山をひたすら歩き続けて今どのくらい登ったんだろう・・・と周りを見渡しても見えるのは針葉樹の単調な景色ばかり。『壮大な展望』だとか『キレイな花』とかいった気分を紛らわす要素が何一つ見当たらないからひたすら歩き続けるしかありません。

八ヶ岳夏7 杣添尾根へ一歩踏み込むとそこは針葉樹の暗い森の中。

八ヶ岳夏8 歩けど歩けど針葉樹の深い森。

八ヶ岳夏9 右を向いても左を向いても見えるのは針葉樹の森ばかり。

八ヶ岳夏10 針葉樹の森の主役はコメツガと呼ばれる木。葉っぱが米粒のようだからそう名付けられたんでしょうか?。

八ヶ岳夏27 コメツガの新緑。深緑の枝先から萌黄色の芽が出ていたけれど長さは1~2cm程。つまり毎年たったこれだけしか成長しないってことなんですね。

奇怪な樹形のダケカンバが見せる不思議な世界

杣添尾根に取り付いてから1時間が経過した頃、小さな広場があったのでちょっと一服。程なくして後方から一人の男性がやって来て軽快な足取りで僕を追い抜いていきました。続いてまた一人の男性がやってきました。

この男性はここで足を止めたので話をすると杣添尾根を日帰りピストンで歩くとの事。男性の持つ小さくて軽そうなリュックがちょっと羨ましく思う一瞬でした。

男性と別れて再び歩き始めます。

相変わらず単調な景色が広がる森の中だけど、太くて立派な木があったり、倒木がびっしりコケに覆われた景色があったり、貧弱な幹ばかりが密集した森があったりと標高差によって景色に若干の違いがあったりします。

コケが覆ってるところは小さなシダや艶やかな葉のマイズルソウ、そしてコメツガの赤ちゃんが芽生えていて、コケが育む小さな命に目を奪われたりもします。

登り始めて2時間経過。そろそろこの景色にも飽きて来たけど、展望の無い世界と急勾配の無限地獄がどこまでも・・・。体力的・精神的に頭が参りそう。そんな単調な登りといよいよオサラバできる時がやってきました!登り続けて3時間、標高2600m付近に到達した辺りで景色に大きな変化が見えてきたのです。

辺りに広がっていた針葉樹の森は背が低くなってハイマツやシャクナゲの灌木が混じり始め、そして尾根上に続いていた登山道は尾根から右側に逸れて、斜面をトラバース気味に続いていくと同時にダケカンバの純林地帯へ突入したのです。

長年の風雪で横にしなるように成長したダケカンバの太い幹や根っ子が、登山道を遮るように横向きに生えているから、何度も乗り越える体力を使う登りが続きます。

疲労で足が止まってふと見渡すと、一面広がるダケカンバの木々はみんな曲がりくねって奇怪な姿をしています。ダケカンバ特有の艶のある赤茶けた樹肌と、芽吹いたばかりの萌黄色の新緑とが相まって見せるファンタジックな世界と、そこに迷い込んでしまった不思議な感覚は、高い山に登った登山者だけが味わえる特権かもしれませんね。

八ヶ岳夏11 標高2400m付近。杣添尾根を半分以上登ってきたけど相変わらず針葉樹の森が続きます。

八ヶ岳夏12 標高2500mを越えると針葉樹に萌黄色のダケカンバの木が混じってくるようになりました。

八ヶ岳夏13 さらに登り詰めると森は灌木状になります・・・もうじき景色に変化が起きそう。

八ヶ岳夏14 標高2600m付近で登山道は尾根を右に逸れていきダケカンバの森に突入。

八ヶ岳夏15 奇怪な姿のダケカンバの森の中はなんだか不思議な世界。

八ヶ岳の主稜線へ!

ダケカンバの森を登り切ると、一面ハイマツの海が広がる尾根上の小さな展望地に到着してここで初めて景色が開けると同時に、赤岳の鋭い頂が僕の眼前に飛び込んで来ました。やっと樹林帯を抜けた喜びと、赤岳の迫力ある展望に思わず叫びたくなるくらい気分が高揚します!

空を見上げると横岳の主稜線と、三叉峰の頂が頭上に見えてその上を歩く登山者が見えます。距離的にはあと100mほど登れば到着できそうだけど、これまでの登りで一番の傾斜が待ち構えています。

ここで一旦しっかり休んでから最後の登りに取り掛かります。ハイマツが広がるガレ場の直登で、足を一歩上げる度に息苦しくて辛くて何度も立ち止まってしまいます。でもあとちょっとで主稜線に到着なんだと暗示をかけながら一歩一歩進んでいって、横岳主稜線に到達したのは午前10:50前。4時間かけてなんとかここまで来れました。

八ヶ岳夏16 標高2700m付近。ダケカンバの森を抜けると一面ハイマツの海で、視界を遮るものが無いから一気に展望が開けます。

八ヶ岳夏17 突然姿を見せる赤岳。鋭く尖って聳えています。

八ヶ岳夏18 最後の急登。すぐ先には主稜線を歩く登山者と三叉峰の頂が見えます。

八ヶ岳夏19 ハイマツの海の中に咲くキバナシャクナゲ。

八ヶ岳夏25 ダケカンバの新緑に彩られる杣添尾根の森。

八ヶ岳夏20 長かった杣添尾根を登り切って主稜線上に立ちました。

三叉峰から望む大展望

主稜線のすぐ上に三叉峰(2825m)の頂があります。

横岳は大権現(2829m)を最高点に、鉾岳・奥の院・釈尊峰などいくつもの小ピークで構成される肩幅の広い岩稜で、三叉峰もその一つに数えられます。三叉峰は大権現よりも僅かに標高が低いものの、その好展望は横岳随一。

三叉峰山頂に立つと赤岳・阿弥陀岳・硫黄岳といった南八ヶ岳の主峰群を間近に望め、深く切れ落ちた西側足元には遥か下に赤岳鉱泉・行者小屋が広大な樹海の中の小さな点となって見えていました。

東側は歩いて来た杣添尾根が長いスロープを描いて野辺山高原まで続いています。杣添尾根の隣には県界尾根、真教寺尾根が杣添尾根と並行して赤岳山頂から野辺山高原までスロープを描いています。

遠くには富士山、北アルプス、南アルプス、中央アルプス・・・極上の展望に包まれながらしばらくまったり。

さて、ひと通り展望も楽しんだし疲れも大分取れたからそろそろお目当てチョウノスケソウの花を堪能しよう。

6月になるとチョウノスケソウをはじめとする高山植物が三叉峰・横岳など八ヶ岳の主稜線の岩場に咲き乱れて荒涼ととした岩場がお花畑へと様変わりします。

でも辺りを見渡してもチョウノスケソウの花が見当たりません。ほかの高山植物も咲いてはいるものの、花数が少なくてなんだけいつもと違う様子なのです・・・。

八ヶ岳夏21 三叉峰から登って来た杣添尾根を見下ろします。よくここまで登って来れたと自分を褒めたくなります。

八ヶ岳夏22 三叉峰から望む赤岳(左)と阿弥陀岳(右)はすっかり緑に包まれて夏色模様。

八ヶ岳夏23 赤岳の奥には富士山。

八ヶ岳夏24 いつどこから見ても富士山はやっぱり目につきますね。

八ヶ岳夏26 三叉峰から北に横岳の最高点・大権現を望む。三叉峰から歩いて10分程の距離にあります。

八ヶ岳・横岳杣添尾根登山地図

【コースタイム】
(1日目)6:45駐車場→10:50三叉峰→13:10硫黄岳→14:50赤岳鉱泉→15:30行者小屋
(2日目)5:05行者小屋→7:00赤岳→7:50赤岳展望荘→9:30三叉峰→13:15駐車場

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