登山した日-2015.8.11
白神山地へ来た時に必ず訪れるようにしてるのが秋田県八峰町の『水沢山ブナの森(ブナの森公園)』。
白神山地の中では麓から登山口までの距離が短く、比較的楽に世界遺産区域まで到達出来ます。
でもマイナーな場所なので訪れる人は殆ど居ません。
ここ近年は大雨などの災害で水沢山ブナの森へ通じる林道が寸断されて荒廃気味です。
2015年8月の夏休み、白神山地へやって来た僕は早速ブナの森公園を訪れてみました。
ブナの森公園登山地図と時間
スタートの登山口から1つ目の道標まで 約30分
1つ目の道標から2つ目の道標まで 約50分
2つ目の道標から3つ目の道標まで 約20分
ブナの森公園~水沢ダム間の林道は未舗装で道路幅も狭く悪路です。
『公園』とありますが、登山装備が必要です。
1.盛夏の水沢山ブナの森
水沢山ブナの森は秋田県八峰町の東側山奥にあります。
『水沢ダム』を目印にして向かうと良いでしょう。
水沢ダムの堰堤から望む水沢山(822m)は八峰町のシンボル的存在の山で
麓からでも三角形の特徴ある山容を望む事が出来ます。
水沢ダム入口の傍らに、水沢山ブナの森へ向かう林道が延びていますが、
入り口には『この先未舗装で狭く、落石の危険があるので出来るだけ利用しないように』という看板が。
とりあえず行ける所まで行ってみます。
水沢ダムから水沢山ブナの森まで距離およそ7km。
林道へ入ってしばらくは舗装された道で走りやすいけど
道路幅は狭くて対向車が来たら少し面倒。
まあ対向車が来る事はめったにありませんが・・・
林道を半分程進んだあたりで路面はダート道へ変化。
そして5km程進んだ所で通行止めになっていました。ここから先は徒歩で向かうことに。
その先の林道は崖崩れで土砂が体積していたり、
沢の増水で道路が侵食されていたりと荒れに荒れ放題。
写真中央には本来道路があるはずなのに、沢になっている始末。
登山口までは渡渉点が二箇所あります。
雪解け時や大雨時は結構増水するので渡るのは困難だけど、
今日みたいな水の少ない日は石伝いに渡っていけば問題なし。
因みに向こうに見える露出した砂地はかつてここにあった『水沢鉱山』の採掘で出たズリ石。
渡渉点を越えると登山口と管理小屋が見えてきました。
本来はここまで車で来られるんだけど・・・。
さて今回はここから右奥に見える尾根付近まで登っていきます!
今居る場所が標高250m、目指す最高点が標高795mで標高差550mほどの登りです。
2.1つ目の道標へ
登山口にはかつて水沢鉱山があって、坑道(現在は崩落で埋没)や石垣など鉱山の遺構が付近に残っていました。
ちょっと判り辛いけど写真は露天掘りの跡で、すり鉢状に窪んだ地形をそこかしこに見ることができます。
何時頃かは知りませんが大分昔に閉山になったみたいです。
登り始めていきなり唖然・・・登山道が草で覆い尽くされて何も見えません!
うわぁ・・・こんな草薮の中に入りたくないなぁ。
でも意を決して突入するとコバエやブヨが一斉に飛び立って顔に纏わりついて気持ち悪いです!!
虫から逃げるように急ぎ足で前進していきます。
草をかき分けて登り続けて森の中へ。
森の中に入れば日陰になるので草も少なくなって登山道が明瞭になりました。
辺りに広がる美しいブナの森。
見た目は心地良くて心が和みそうけど蒸し暑いしブヨやアブが多いし、
あちこち蜘蛛の巣だらけでちょっと不愉快な気分。森の中はエゾゼミの大合唱でちょっと五月蝿いくらいの音量。
登山口から登ることおよそ30分、1つ目の道標へ到着。
3.2つ目の道標へ
一つ目の道標の先は見事な『ブナ純林地帯』で、このコース一番の見どころ!
獣道程度の踏み跡しかない登山道を進んでいきます。
昔はちゃんとした登山道だったんだけど、利用者が居ないから今にも消えそうです。
テープといった目印は一切無いから初めて歩く人はルートファインディング能力が必要です。
森を見上げて
向こうに尾根が見えてきました。
あの尾根の辺りで標高700m。そして尾根の向こうは世界遺産の指定区域となっていて人の立ち入りが厳しく制限されています
見事なブナ。これぞザ・白神山地
登山口から1時間30分ほどで『2つ目の道標』が立つ尾根に辿り着きました。
道標を左に行けば展望の開けた795m峰の山頂で、右に向かうと尾根コース。
3.795mを目指すも・・・断念
道標から左の尾根へ進みます。ここから795m峰山頂まであと10分程だけど・・・
猛烈な藪漕ぎが待ち構えていました!
人の背丈程の笹ヤブを掻き分けて進んでいくも、終にはネマガリタケの密林に行く手を阻まれ
どうしても突破する事が出来ず795m峰登頂は断念して、元来た道を戻ることにします。
795m峰を諦めて戻り際に望んだ世界遺産指定区域。遠くうっすらと二ッ森(1086m)が見えました。
4.3つ目の道標へ
とりあえず『2つ目の道標』まで歩いて来た道を戻ります。
2つめの道標付近はブナの巨木があちこちにあって原生の森の雰囲気に包まれていました。
どんどん下っていき『ブナ純林地帯』へ。
この付近は肌の白いスラっとした姿をしたブナが多い感じ。
『水沢山ブナの森』のブナは綺麗で見応えがありますね。
『1つ目の道標』まで戻ってきました。
そして今度はここから『3つ目の道標』方面へ向かいます。依然として続くブナの美林。
木々の隙間から垣間見た795m峰。あの頂に立てなかったのはちょっと残念だったなぁ。
エゾゼミの抜け殻。
『3つ目の道標』へ向かう道も踏み跡が薄くて、一部藪に覆われてたりと登山道は荒廃気味。
樹肌にはクマの爪痕がびっしり。
登山中は藪が多かったからクマがその辺から飛び出して来るんじゃないかと緊張の連続でした。
『3つ目の道標』近くまで来ると登山道は明瞭になって、随分歩きやすくなります。
『3つ目の道標』に到着。あとはここからガレた道を15分程下れば林道へ降り立って登山は終了です!
今回歩いてみて水沢山ブナの森の荒廃が一層激しくなっているのを感じました。
このまま人の手入れが無ければあと数年で登山道は消失して、人間が容易に近寄ることの出来ない
原生の白神山地の森へ戻るかと思います。
水沢山ブナの森を訪れるのもこれが最後になるかもしれませんね・・・。