黒姫山~秋の頸城山塊。霧と紅葉と青空に包まれた森歩き【後編】

頸城山塊

曇天から一気に晴れ渡った黒姫山山頂で見たのは色鮮やかな紅葉と雲海。秋の好日に頸城山塊の頂で素晴らしい景色と出会えた黒姫山登山日記後編です。

登山した日-2015.10.5

稜線を歩いて感じる季節の変わり目

黒姫山外輪山の『しらたま平』に着いた途端、雲は取れて妙高火打の頂が見えたり、高妻・乙妻山が雲海の中から頭を出してきたりと晴れてきました。今日の天気はもうダメと半ばあきらめモードだったから嬉しくてたまりません。

しらたま平を後にすると外輪山に沿っての稜線歩き。ふと足元を見ると白い丸いものが落ちているから目を凝らすとシラタマノキの実でした。

シラタマノキはさっき居た『しらたま平』の名前の由来となった木でそこかしこに白い実をつけています。シラタマノキの他にもコケモモが赤い実をつけていたり、カサカサに枯れたオヤマノリンドウやヤマハハコが朝露に濡れてうなだれていたりと、夏から秋、そして秋から冬へと変化していく季節の移ろいを垣間見て、『今年も夏が終わってもうじき冬かぁ・・・』とちょっぴり感傷的になったりといろんな思いを感じながら山道を進んでいくと、標高1998mの小ピークへ到達。ここで目の前が開けて、初めて黒姫山の山頂を眼前に捉えました。

三日月状に広がる外輪山の一角に、独立峰のようなピラミダルな姿でそびえ立つ黒姫山の最高点。スッと青空に向かって天を衝く山容は険しいけれど、紅葉と草原に包まれているから見た目ほどの厳つさは感じませんでした。

やがて峰ノ大池・七ツ池方面との分岐点を過ぎると、いよいよ黒姫山最後の登りに差し掛かります。

秋の黒姫山22 しらたま平から北を望むと、遠く火打・焼山の頂きを望めます。

秋の黒姫山23 火打・焼山の頂きをズーム。木々が生い茂ってるからキレイに見渡せないけれど見えただけで十分満足。

秋の黒姫山24 しらたま平から先はササ原と針葉樹の疎林が織りなす心地良い稜線満歩。

秋の黒姫山25 夏から初秋にかけて咲き誇っていたヤマハハコはドライフラワーのようにカサカサに枯れ果てていました。

秋の黒姫山26 雲海の中から頭を出した高妻山・乙妻山。

秋の黒姫山28 ゆるやかに続く尾根道を登っていくと・・・。

秋の黒姫山29 行く手の展望が開けて黒姫山の頂きを初めて眼前に捉えました!なかなかピラミダルな山頂で険しそう。

秋の黒姫山30 黒姫山をズームで見ると草原や紅葉に包まれて優しい姿をしてるようにも見えます。

秋の黒姫山31 峰ノ大池・七ツ池方面との分岐点へ到着。ここから黒姫山最後の登りへ取り付きます。

秋空と雲海の黒姫山

再び急登になって胸が苦しく息が切れるキツイ登りが連続します。ツラいけど登山道の周りを真っ赤に染める紅葉がキレイ過ぎて疲れを忘れさせてくれるから、グッと我慢して登り続けられます。

やがてハイマツが混じる岩場へ差し掛かれると山頂はもうすぐ。そして・・・標高2053m、黒姫山山頂のてっぺんへ立ちました。露出した黒々とした岩の上に腰を下ろして展望を堪能してみます。

山頂北側は木々が覆い茂っているものの妙高火打・焼山の展望は相変わらず良好。しかしそれ以外は一面の雲海で雲海よりも高い北アルプスや高妻・乙妻山がかろうじて見える程度。妙高高原や戸隠高原といった眼下の広がりは見ることが出来ずちょっと残念。でもこれだけ拝めたんだから、これ以上の展望を期待するのは欲張りというものです。

秋の黒姫山32 真っ赤に染まったドウダンツツジ。

秋の黒姫山33 秋から冬の装いへ~ダケカンバの森。

秋の黒姫山34 山頂直下に広がるハイマツ。右側の山は小黒姫、左奥は高妻・乙妻山。

秋の黒姫山35 黒姫山山頂。2053mのてっぺんへ到着です。

秋の黒姫山36 山頂北側は灌木が茂って360度の大展望とはいかないものの、木々の間から妙高火打・焼山の頂きを望むことができます。

秋の黒姫山37 山頂西側、南側は開けていて展望抜群。生憎の雲で眼下の展望は拝めなかったものの、遠く北アルプスまで見渡せました。

秋の黒姫山38 雲海に包まれた黒姫山山頂で過ごした時間は最高のひとときでした。

七ツ池と峰ノ大池を目指して

黒姫山山頂へは10分程滞在しただけで、次なる目的地『七ツ池と峰ノ大池』を目指して山頂を後にしました。

黒姫山山頂から北にある『黒姫乗越(のっこし)』まで続く外輪山の稜線へ入り込むと、途端に登山道は荒れ気味になって『登山者の利用が少ないんだ』って事を感じます。辺りは針葉樹の苔むした暗い森が広がって展望は無く、地面は木の根っ子が縦横無尽に蔓延って微妙にアップダウンのある歩きにくい道だったのです。

だからテンションもダダ下がりでイマイチ楽しくなれません・・・。

そんな折、『七ツ池と峰ノ大池』の草原と湖沼が木々の隙間からチラリと見えました。黒々とした原生林が黒姫山山頂部に広っている中で、火口底に当たる七ツ池と峰ノ大池だけが明るい草原に包まれているんだから、『早くここを抜けだしてあの草原の中を歩きたい!』って気持ちでいっぱいになります。

黒姫乗越に到着すると進路を南に変えて『しらびそ平』へ向かいます。もうこの辺りは黒姫山の火口底に当たるから風の影響を受けないのか一面シラビソの高木が立ち並び、地面はシダやコケが覆っていて鬱蒼とした森。風が無いから強い松脂のニオイが充満していて原生林のまっただ中に身を置いた気分です。

この森を20分程歩き続けていると、突然目の前が開けて明るいササの草原が出現しました。七ツ池へ到着です!

秋の黒姫山39 黒姫乗越までの道は針葉樹に覆われた薄暗い森歩き。木の根っ子がはびこってちょっと歩きにくいかも。

秋の黒姫山40 木々の隙間から火口底に広がる七ツ池・峰ノ大池が時々見える!早くあの草原の中を歩きたいです。

秋の黒姫山41 暗い針葉樹の森の中に広がるゴゼンタチバナ。

秋の黒姫山42 針葉樹の森の中にも紅葉の木々があちこちあって陰鬱な森の中を華やかにしてくれてました。

秋の黒姫山43 分岐点『黒姫乗越』へ到着。ここで七ツ池・峰ノ大池方面へ進路変更。

秋の黒姫山44 黒姫乗越からしばらくは針葉樹の深い森歩き。ここは『しらびそ平』と呼ばれる平坦地です。

秋の黒姫山45 しらびそ平の深い森の抜けると突然目の前に広がる大草原!七ツ池へ到着。

天空の楽園、七ツ池と峰ノ大池

すり鉢状に凹んだ火口底いっぱいに広がるなだらかなササ原。ササ原に点在する小さな池塘と辺りを取り巻く錦色の外輪山。そしておむすび山をした火口丘の小黒姫山。これらが絶妙に合わさって見せる景色はまさに雲上の楽園でした。

辺りは誰も居ません・・・こんなスゴい景色独り占めしちゃっていいのかな?

誰にも邪魔されず想いのままに存分に景色を堪能してると、前方から続々と登山者がやってきて七ツ池の景色に出会った瞬間、歓声を上げていました。その声は七ツ池の火口全体に響き渡って静かだった空間は途端に賑やかになりました。

『あーっ!登りの時のお兄さん!』

と前から声をかけられると、それは登りの時に追い越していった中高年の登山グループの方々。

皆さん紅葉に包まれた七ツ池の景色にハイテンション気味で、数歩歩いて立ち止まってはスバラシイ景色に見惚れていたり集合写真を撮っていたり・・・そんな微笑ましい光景を見ていると僕も気持ちがホッコリ。

七ツ池からわずかに外れた峰ノ大池へ来ると、ここの景色もまた格別。針葉樹とダケカンバに包まれて静かに水を湛える峰ノ大池は『神秘的』という言葉がピッタリ。しばらく眺めていると上空を雲が覆って日差しが消えて一層神秘さは増すものの、色の鮮やかさは失われたようでした。

秋の黒姫山46 七ツ池から見上げる黒姫山。

秋の黒姫山47 七ツ池から見上げた中央火口丘の小黒姫(御巣鷹山)。外界離れした綺麗な光景。

秋の黒姫山48 紅葉に染まる黒姫山外輪山。

秋の黒姫山48 小黒姫山とダケカンバと紅葉。

秋の黒姫山50 不思議な世界へ迷い込んだ感覚。

秋の黒姫山51 七ツ池の草原を行く登山者。

秋の黒姫山52 七ツ池の火口原を歩き終わりました。この景色とお別れなんてちょっと悲しいな。

秋の黒姫山53 峰ノ大池と小黒姫(御巣鷹山)。

単調な西登山道

峰ノ大池を離れて西登山道へ入ると景色が一転、藪っぽい荒れた森が広がるばかり。登山道脇にびっしり生えるダケカンバはみんな幹が貧弱だし、谷筋沿いだから日当たりも悪いし展望もゼロ。おまけに石が沢山露出した滑りやすくて歩きにくい道の連続でした。

曇天のせいで日差しも無いから一層陰鬱な雰囲気が漂う西登山道。

よく考えて見ればさっきまで七ツ池・峰ノ大池の天国のみたいな景色の中に居たわけで、そのギャップがあまりに大きいからよけいに西登山道の景色が悪いと感じてしまうのかもしれません。

高度を下げるにるれてダケカンバにブナが交じるようになると、岩も少なくなり勾配も緩やかになって随分歩きやすくなってきました。西登山口の分岐を過ぎるとほぼ平坦な道がどこまでも続くようになりました。

西登山口~新道分岐の中間にある広大な湿地『大ダルミ』まで来ると幾分森が開けて上空の展望が利くようになって、黒姫山西面の頂を望むことができました。なだらかな斜面いっぱいに広がるササ原にダケカンバやナナカマドの紅葉をちりばめた黒姫山。西登山道へ入ってやっと訪れた見晴らしを堪能して疲れを取ります。

大ダルミからゆるやかに下り続けて新道分岐へ到着。ここは登りの時にやってきたところであとは来た道を下っていくだけ。いつの間にか空はまた晴れ渡っていて木漏れ日が眩しい森の中を古池までひたすら下り続けました。

秋の黒姫山54 峰ノ大池を過ぎてこれから西登山道へ。さっきまでの天空の楽園だった世界から一転、鬱蒼とした荒れた森の中を歩いて行きます。

秋の黒姫山55 細くて貧弱なダケカンバの森がしばらくどこまでも続きます。

秋の黒姫山56 大分下るとブナやシラカバの森へ。

秋の黒姫山57 大ダルミから望んだ黒姫山西面。

秋の黒姫山58 大ダルミ前後は緩やかな道。

秋の黒姫山59 新道分岐直前にあった人面岩。

秋の黒姫山60 新道分岐へ到着。あとは登ってきた道を1時間下れば古池です。

秋空広がる黒姫山

森を抜けて古池へ降り立つと澄み渡った秋空が広がり、乾いた風が湖面を吹き抜けていました。振り返ると青空をバックに悠然とそびえたつ黒姫山。朝は雲で何も見えなかったのにすっかり様変わり。

あーあ、なにもこんな下山した頃になってスカッと晴れなくてもいいのに!どうして登りの時から晴れてくれなかったの?と、タイミングの悪さというか、天気の空気の読めなさにちょっと不満な気持ちになりつつも、道中見てきた美しい景色を思い出したり、今見る黒姫山の展望を見ると不満な気持ちが抑えられて心が落ち着きます。

まあ天気はどうあれ、今回の登山でイチバン感動して心に残ったのは何と言っても七ツ池・峰ノ大池の紅葉。その七ツ池や峰ノ大池が春や初夏の時はどんな景色をしているんだろう?絶対見てみたい。だからまた黒姫山へ行かなきゃ。その時は一日中晴れ渡ってほしいな。

黒姫山再訪を心に決めて、古池を後にしてカラマツ広がる森の中を登山口まで下っていきました。

秋の黒姫山61 森の向こうに古池が見えてきた!登山もいよいよ終了間近。

秋の黒姫山62 秋色に染まった古池の湿原と戸隠・高妻山の山並み。

秋の黒姫山63 古池から見上げた黒姫山。朝は雲で何も見えなかったのに帰りはすっかり晴れ渡って見事な山容を見せてくれました。

秋の黒姫山64 駐車場まで無事下山。お疲れ様でした。

秋の黒姫山65 下山後、県道36号線から見上げた黒姫山。さっきまであの頂きのてっぺんに居たんだよな・・・。と思ってしまうほど遠くに悠然とそびえてきました。” 。

黒姫山地図

【コースタイム】

●登り 6:10西登山道駐車場→6:30古池→7:30新道分岐点→9:30黒姫山山頂

●下り 9:40黒姫山山頂→10:25黒姫乘越→11:05峰ノ大池→12:25大ダルミ→12:45新道分岐→13:25古池→13:50西登山道駐車場

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