谷川連峰・稲包山~紅葉に包まれた秋の森を歩く【前編】

谷川連峰/赤城/武尊

稲包山(いなつつみやま・1598m)は谷川連峰西側にそびえる山。山の峻険さや知名度は谷川岳に遠く及ばないけど、森が大変美しい場所らしいので紅葉時期に登山してみました。

※この記事は全2ページあります。

登山した日-2015.10.18

赤沢スキー場から挑む稲包山

真夜中に自宅を出て登山口のある群馬県みなかみ市の赤沢スキー場までバイクで向かいます。閑散とした国道17号線を北上し続けて空が白み始めた頃にみなかみ市入り。国道に立っている電光掲示板の気温表示は10℃を切ってひと桁まで下がり、群馬新潟県境の三国峠への山道に差し掛かるとついに2℃まで低下・・・。

『寒くて死にそう!』

気温の急激な変化に弱いのがバイク登山のツラいところ。冬山登山並みの防寒ウェアを着込んでいても寒さがジワジワ染みこんでくる感じです。特に指先と足のつま先がかじかんで我慢できません。途中何度か休憩して手足をマッサージしながら国道17号線から県道261号線へ入り『法師温泉』へ向かう辺りで変なものが道路上あちこちに落ちているのを発見します。

シュークリーム状の真っ黒い物体はまさしく動物の糞。でもあまりに巨大で両手で掬っても収まらないくらいのボリュームがあります。

『これ、どうみてもツキノワグマのウンコだよね・・・』つまりこの辺りはツキノワグマがとても多いという事になります。もしツキノワグマに間近に出会ったらめちゃくちゃ怖いけど、ツキノワグマが多いほど豊かな森がここ稲包山にはあるんだ!と思うとちょっと期待もしてしまう。なんだか複雑な気分です。

『赤沢スキー場入口』の分岐から細い路地へ入り少し走ると広々とした場所へ出ました。午前5時45分に赤沢スキー場へ到着です。道路の脇に広場があってここが駐車場のようです。快晴の空の向こうには谷川連峰の三国山がくっきり見えていい感じ。今日の天気は終日晴れそうな雰囲気です。

ああ、それよりも寒くてたまらない、早く身体を暖めたいからすぐに登山を始めます。

秋、紅葉の稲包山1 赤沢スキー場の登山口へやってきました。

秋、紅葉の稲包山2 駐車場からゲレンデを少し登っていくと・・・。

秋、紅葉の稲包山3 『四万温泉』の看板標識とともに登山道が出現。ここから稲包山登山がスタートです。

静寂に包まれた上信越自然歩道

スキー場のゲレンデをホンの少し登ると『四万温泉』の看板が出てくるので看板通りに進むと登山道へ入ります。この登山道は『上信越自然歩道』として行政が管理しているから整備されていて快適に歩けます。適度な勾配の登りが続いて身体が火照ってくると暑くなってきて汗が滲んできます。さっきまで寒さでブルブル震えていたのがウソのよう。

朝日が山並みから顔を出すと森は一気に日差しに染まって明るくなってきたと同時に、くすんだ色をしていた森が紅葉色に輝き始めます。とはいっても登山口付近はまだ緑色が占めていてようやく色あせて来た感じ。でも登り続けると赤や黄色が占めるようになって紅葉本番の森が広がってきました。

登山道は散ったばかりの葉が敷き詰まっていて踏みしめるとふかふか!そんな登山道をしばらく歩いていてふと気づきます。

『そういえば人の踏み跡がほとんど無いなぁ・・・。』

登山道はしっかりと整備されているけれど、最近人が歩いた形跡がほとんど無いんです。どこまでも真新しい落ち葉のじゅうたんが続くし、落ち葉の無い地面には何日か前の足跡が微かに残ってるだけ。

まあこの付近は谷川岳や平標山、苗場山とか有名で登り甲斐のある山がいっぱいあるから登山者は皆そっち行っちゃうんだろうなぁきっと。今日みたいな休日で紅葉シーズンでしかも快晴の日の谷川岳なんて今頃登山者や観光客がわんさか押し寄せてるんだろうなと思うと、この静かな稲包山の紅葉の森を独り占めしてる事が贅沢な感じに思いました。

秋、紅葉の稲包山4 まずは稲包山の南にある赤沢峠へ向けて歩いていきます。

秋、紅葉の稲包山5 朝日に照らされる森。

秋、紅葉の稲包山6 地面は落ち葉が積もっていて歩くとふかふかで気持ちいい。

秋、紅葉の稲包山7 色づき始めたブナの木々。

稲包山・紅葉の主稜線へ?

辺りが静かだから頭が冴えてあれこれ考え事したり妄想に浸りながらのんびり歩いていると、突然斜面のササ藪からガサガサと大きな音がして思わずハッと立ち止まって反射的に身構えました。恐怖で心臓はバクバク。『もしかして・・・ツキノワグマ!?』

またガサガサと大きな音がしてネコ程の大きさをした灰色の動物が何頭も登山道を勢い良く横断して谷筋へ走り抜けます。『何だサルか!』ツキノワグマじゃなかったからとりあえずほっと一安心。でもサルも僕同様にびっくりしたはず。

さて、登山道は赤沢スキー場を登り始めてから斜面をトラバースしながらひたすら続いていきます。木々の隙間に鉄塔が立つ尾根が見えてくると、赤沢峠への急な登りに差し掛かります。そろそろ歩き始めて約2時間、少し疲れが出始めて来た頃に分岐道が見えてきました。赤沢峠へ到着です。

でも・・・なんだかおかしいな。地図を見ると赤沢峠には東屋があると記されているのに見渡しても東屋らしきものは見当たらないし、四万温泉方面の道はちゃんと看板が出てるのに、稲包山方面の道は何も無い。本当にココが赤沢峠なのかな?まあ・・・それよりもノンストップで歩き続けて疲れたから先に休もう。道標にもたれながらしばらくの間、辺りに広がる紅葉の森を堪能しました。

秋、紅葉の稲包山8 上信越自然歩道を歩き続けて1時間以上経過した頃、稲包山~赤沢山間の主稜線と鉄塔が見えてきました。

秋、紅葉の稲包山9 紅葉が綺麗です。

秋、紅葉の稲包山10 山肌に広がる紅葉の森。

秋、紅葉の稲包山11 見上げても紅葉。標高1000m付近がちょうど見頃ですね。

秋、紅葉の稲包山12 赤沢峠らしき分岐点へ到着。ここでちょっと一休み。(本当の赤沢峠はもう少し先でした。)。

天を衝く稲包山

疲れも取れたし、そろそろ出発しよう。稲包山方面へ伸びている看板のない登山道・・・果たして正しい道なのかちょっと不安だけど方角は合ってるからきっと大丈夫だろう。

登山道へ入るとササ原の中にブナの巨木が点在する美しい景色が広がり、やがて鉄塔の建つ見晴らしの良い場所へ出ました。眼前に広がる谷川連峰の大絶景に感激したのも束の間、登山道はここで途切れて前進できず困惑。あれ・・・おかしいなと辺りをくまなく探すと杣道が主稜線に向かって伸びているのを発見。この時点で道を間違えた事に気づくも、この杣道を行けば本来の道に出るんじゃないかと思って進んでみることにしました。

ジグザグの急斜面の登りがしばらく続くけれど、主稜線は目の前に見えるのでそれをを目指して登って行くと主稜線上に続く登山道と合流してほっと一安心。どうやらさっき休憩したところは『赤沢峠』じゃなかったみたい。道迷いは気をつけないといけないですね。

主稜線に出て緩やかな尾根道を登っていきます。尾根筋はブナの疎林とササ原の世界で、木々はほとんど葉を散らしているから見通しが良く比較的快適。

一つ目の小ピーク(1479m)を登ると、槍の穂先のような姿をした山が目の前に出現しました。

地図で確認するまでもなくあの山が稲包山だと思ったのは、周辺の山には無い目立つ山容をしていたからです。事前のイメージだと稲包山は没個性的な山かと思っていたからちょっと驚き。稲包山の頂は進むに連れて大きく、より険しく姿を変えて行きながらもなかなか距離が縮まらない程、秋空の下に悠然とそびえ続けていました。

秋、紅葉の稲包山13 先ほど休憩した場所から稲包山方面へ向かう道を10分ほど歩くと展望が開けて鉄塔が見えてきました。

秋、紅葉の稲包山14 鉄塔から谷川岳を始めとした谷川連峰の主峰群を一望できました。ちなみにここで登山道はおしまいで、誤って鉄塔の保守路へ迷い込んでしまったみたい。

秋、紅葉の稲包山15 稲包山~赤沢峠間の主稜線へ到着。美しいブナの疎林が広がる気分最高の道が延々と。。

秋、紅葉の稲包山16 ブナの木々を見上げて。

秋、紅葉の稲包山17 見えて来た稲包山。槍を天に突き刺したような山容でそびえたちます。

稲包山登山地図

【コースタイム】

●6:00赤沢スキー場→8:10赤沢峠手前→9:40稲包山→11:10キワノ平ノ頭→12:25三国峠→13:30戊辰の役古戦場→14:05法師温泉→14:30赤沢スキー場

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました