奥秩父・金峰山~シャクナゲの道を踏み越えて【前編】

奥秩父・金峰山~シャクナゲの道を踏み越えて【前編】
2016年7月1日

6月のはじめに梅雨入りした関東甲信地方は毎日ぐずついた天気が続いていたけれど、週末は高気圧が張り出して晴れそうな予感。この時期の山々はどんな景色なんだろう!と思って真っ先に頭の中に浮かんだ奥秩父の金峰山を登山してみる事にします。

登山した日-2016.6.11

梅雨の中休みの金峰山

午前1時半に自宅の熊谷を出て、登山口あるの瑞牆(みずがき)山荘を目指して国道140号線をバイクで走り続け、午前5時半に瑞牆山荘奥の駐車場へ到着すると、車4~50台は停まれる広い駐車場はもう結構な数の車が停まっていました。

梅雨時期の貴重な晴れ間で、しかも週末だからまだまだ大勢の登山者が押し寄せそうな予感です。

今回はここ瑞牆山荘から→富士見平小屋→大日岩→金峰山のコースをピストンで歩く事にします。

金峰山夏1 瑞牆山荘の少し手前にある金山山荘付近から見上げた金峰山はとても雄大。

金峰山夏2 登山口にある駐車場は早朝にもかかわらず沢山の車が停まっていました。

金峰山夏3 ここが登山口。今回の山旅ではどんな景色と出会えるのかワクワクです。

富士見平小屋への道のり

登山口へ入るとミズナラやカラマツ・シラカバの緑濃い森が広がるキモチのいい森歩き!

淀んだ空気が漂う下界と比べて、ここは清冽な空気に満たされていて空気をスーッと吸い込むと歯にキーンとしみる冷たさです。でも今日の天気予報は文句無しの『晴れ』だから、日中は真夏のように暑くなるだろう。木々のわずかな隙間から見える梅雨明け直後のような真っ青な空を見てそう確信します。

序盤緩やかだった登山道はすぐに急斜面のキツい登りへと変わり、汗をかきながら登り切って小尾根へ出ました。ちょっとノドでも潤そうかとザックの中を探しても水筒が見当たりません。しまった・・・水筒を駐車場に置き忘れちゃった!

どうしよう・・・取りに戻ろうかと思ったけどまたここまで登るのが億劫だったので、この先にある富士見平小屋で水を買うことにして前進を続けました。

しばらく登ると富士見平小屋が見えてきました。早速小屋でペットボトルの水を買うと500mlで450円。とりあえず2本買ったけど、予想される暑さに対して1リットルはちょっと心もとないけど・・・でも値段が高いからこれ以上は買えないなぁ。まあいざとなればこの先の大日小屋の水場で凌ぐ事にしよう。

金峰山夏4 登り始めはミズナラやシラカバの心地良い森歩き。

金峰山夏5 序盤の急登。

金峰山夏6 序盤の急登を越えて小さな尾根道を歩き続けると富士見小屋が見えてきました。

飯盛山の深い原生林

富士見平小屋を後にすると、飯盛山(2116m)への登りに差し掛かります。勾配はそれほどでもないけれど登りの連続なので、ちょっとしんどい。登山道は飯盛山山頂へは通じずに頂を迂回するように先へ続いていきます。

飯盛山山頂直下まで来ると、勾配は緩やかになって身体が楽になります。心に余裕が出たから周りの景色を眺めると、カラマツやシラカバはここにはもう無く、シラビソ・コメツガの暗くて鬱蒼とした針葉樹の森が何処までも広がっていました。

『過密』すぎる程びっしりと生えるシラビソ・コメツガたちの根元はフカフカのコケに包まれていて原生の様相を見せます。森の中はとても静かで、鳥のさえずりさえも聞こえないシーンとした世界。でも少しすると登山者の熊よけ鈴の音が前後から聞こえて静寂の時間から開放されます。

登山道はやがて緩やかに下っていき、ダケカンバの疎林が広がる小さな空間に出たここは大日小屋のテントサイト。大日小屋は登山道から外れた斜面下に建っていました。

金峰山夏7 飯盛山に広がるシラビソ・コメツガの深い原生林。

金峰山夏8 深い原生林を歩いて。

金峰山夏9 薄暗い陰鬱な原生林に朝日が差し込むと森の景色も一変して明るい雰囲気へ。

金峰山夏10 大日小屋のテントサイトから望んだ鷹見岩の頂。

シャクナゲの世界

大日小屋を過ぎると地獄の急登で、心臓がギュッと締め付けられるような苦しい登りが連続。苦しさから逃れたくて空を仰ぐも、濃密に茂った針葉樹の葉に覆い尽くされてそれは叶わず、少し涙目になりながらひたすら登り続けていくと、登山道脇に大柄で淡いピンク色の花がポツポツと現れるようになります。

その花はシャクナゲ(アズマシャクナゲ)でした。薄暗くて陰鬱な森の中で唯一登山の苦行を精神的に和らげてくれる素敵な存在で、しかも登るに連れて花数が多くなり登山道を埋め尽くさんばかりに咲いているから美しさに圧倒されて次第に疲れを感じなくなります。

暗い登山道を灯すように咲き誇るシャクナゲに導かれながらひたすら登り続けると、突然森を抜けて小さな広場に辿り着きました。ここは大日岩直下の岩場で、南側の展望が開けて甲府盆地の韮崎市街や、遠く南アルプスの連なりを拝めます。この岩場を過ぎるとまた深い森の中に戻るものの、間もなく主稜線の大日岩へ到着しました。

ここに登山者が居たから話をすると、金峰山を登ってもう下山中との事。『上の方は富士山が見えて景色が綺麗だったよ~』なんて言われると早く山頂に立ちたい!初夏の爽快な展望をこの目にしたい!ってキモチが湧いて焦ってしまい、大日岩での休憩は程々にして金峰山への道を急ぎます。

金峰山夏11 大日小屋を過ぎるとシャクナゲの花がちらほら出現。

金峰山夏12 このシャクナゲは『アズマシャクナゲ』という比較的標高の高い山に咲くツツジの仲間です。

金峰山夏13 シャクナゲの花は、大日小屋~大日岩間が一番見応えがありました。

金峰山夏14 大日岩直下の展望地から望んだ景色。登山口から砂払いの頭までずっと見晴らしの無い森の中を歩くから、ここの展望はとても貴重。

金峰山夏15 コース中盤の大日岩まで辿り着いたけど金峰山の頂きはまだ遥か先。ひたすら深い森の中を歩いていきます。

金峰山登山地図

【コースタイム】

●登り 5:40瑞牆山荘→6:20富士見平小屋→7:10大日小屋→8:30砂払の頭→9:30金峰山
●下り 10:00金峰山→9:50砂払の頭→11:25砂払の頭→12:40大日小屋→13:25富士見平小屋→14:15瑞牆山荘